新規事業やプロモーションに伴走、新しいリスクにもいち早く対応できる法務部へ

新規事業やプロモーションに伴走、新しいリスクにもいち早く対応できる法務部へ

東和薬品株式会社

導入の背景

法務審査・相談案件が年々増加・複雑化する中で、対応可能範囲を広げるためのナレッジマネジメントや過去データを有効活用できるシステムが必要でした。また、契約管理の機能性を高めることで全社的に契約管理の活用度を高め、結果として契約に関するリスク管理を向上させたいという狙いもありました。

導入の効果

過去案件の調査や修正方針の検討、ドラフト・レビュー、事業部門とのメールのやり取りを都度共有フォルダに蓄積する時間が削減され、課全体としてナレッジ共有への意識も高まっています。

東和薬品株式会社は、ジェネリック医薬品の研究開発・製造販売を行う会社です。近年はコア事業に加え、「人生100年時代に向けた総合ヘルスケアカンパニー」として健康寿命の延伸に貢献する健康関連事業にも取り組み、ソリューションの幅を広げています。

同社では、2022年にMNTSQ 契約管理を導入し、ナレッジ共有や契約管理の効率化を図っています。MNTSQ CLMを導入した経緯や得られている効果について、導入・運用推進を担当された皆様にお話を伺いました。

<参加者>
法務部 部長 大西様
法務部 次長 中村様
法務部 法務課員 O様
※以下、敬称略
※2023年12月時点の役職です


  • 東和薬品様の法務部が担っている役割について教えてください。

大西:
法務部は4つの課に分かれており、合わせて15名の体制で業務にあたっています。契約書審査や法務相談を担う法務課、医療用医薬品公正競争規約の遵守対応を担うコード・倫理審査課、医薬品等のプロモーション・広告に関する法規の遵守を担う販売情報提供活動監督課、全社的なコンプライアンスの推進を担うコンプライアンス推進課があります。

法務部の役割として大きな柱となっているのは、ビジネスの成長を支援していくことです。弊社は創業以来、医療用医薬品の製造販売を行ってきましたが、数年前から健康維持・増進に役立つ製品・サービスを提供する新規事業を複数展開しており、事業の幅が広がっています。こうした中で法務部に求められているのは、事業部門がビジネスを進める上で障壁となり得る法的リスクや将来的に問題が起きる可能性についていち早く感知し、情報を提供していくことです。

また、弊社の場合、コンプライアンスの機能やプロモーション活動の監督機能を法務部の中に持たせています。公正競争規約やプロモーションにおける薬機法※の遵守は製薬企業としての信用に関わる部分であり、専門的な知識が必要となるため、法務部がチェックする体制にしています。

※薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

法務業務の属人化とデータ検索の非効率を解決するため導入

  • MNTSQ導入前の課題を教えてください。

中村:
大きく三つあります。1つ目は業務が属人化しがちで、ナレッジ共有がうまくできていなかったことです。法務への相談や契約審査依頼は年々増加しています。新規事業への対応も増えていることから案件内容も複雑化していました。限られた人数でこれらに迅速に対応してきた結果、業務の属人化が進んでしまったという背景もあります。

2つ目は、過去案件などを調査する際に、該当するデータを探し当てるのに多くの時間がかかっていたことです。これまでは、契約や相談に関するデータを手動でフォルダに保管して共有するフローをとっていましたが、フォルダ名やファイル名でしか検索できず、なかなか欲しいデータにたどり着けませんでした。そのことで、同じ内容を何度もリサーチして検討するという非効率を生んでいました。

3つ目は、契約管理における課題です。MNTSQ導入前は全社共通の文書管理システムを使っていました。しかし、締結版の契約をスキャンしたPDFファイルを登録はできたものの、検索対象は、登録時に契約担当者が入力した契約概要に限定されていたため、契約書に記載された内容を広く検索することができませんでした。例えば、Change of Control条項が入っている締結済みの契約を洗い出したいというような場合には検索で探し出すことは不可能でした。また、締結済み契約と契約交渉過程の情報を一元管理できないため、各部門で案件情報を有効に活用できないという課題もありました。

契約管理については、法務部だけでなく事業部でもリスク管理の観点でしっかり活用してほしいのですが、従来の文書管理システムで検索性を担保するには多くの項目を入力する必要があり、作業担当者の負荷が高いためになかなか推進できないという問題も抱えていました。

大西:
医療用医薬品はライフサイクルが長く、契約期間が10年、20年ということもあります。そのため、トラブルにつながらないように過去の情報はしっかり管理しなければなりません。また、事業が拡大している中で、過去案件の背景や経緯と照らし合わせながら検討しなければならない案件も増えています。

業務効率化はもちろん、事業部の担当者が変わったとしてもナレッジが蓄積・共有されるための仕組み化は法務部として急ぎ対応しなければならない課題であり、リーガルテックの活用を模索していました。


  • MNTSQ CLMを選んだ理由を教えてください。

中村:
MNTSQ CLMを知ったきっかけは、MNTSQからとても熱意あるお手紙をいただいたことです(笑)。その中で紹介されていたナレッジ共有を実現する機能や契約管理を効率化・高度化する機能は、まさに私たちが実現したかったことに合致していました。

MNTSQのメール連携機能では、各事業部と法務部でやり取りしたメールが自動的にデータベースに取り込まれるため、手間をかけずに案件情報を蓄積することができます。加えてメールに添付されたドキュメントも全文検索できるため、リサーチに要していた時間を大幅に削減できると判断しました。

MNTSQ 契約管理では、締結済み契約と案件情報を一元管理でき、契約類型や契約条項ごとの横断的分析も可能です。様々な場面に活かせることに期待し、従来使ってきた文書管理システムからの切り替えという形で導入を決めました。

大西:
実は法務業務の効率化の問題が浮上したときに、当時リーガルテックで注目されていたAI契約書レビューのサービスを導入しました。もちろん便利な機能もあったのですが、部員が高いレベルで効率的に審査を行っていたので、AIレビューを本格的に活用する場面は多くありませんでした。AIレビューも日々進化しているはずですが、私たちの課題にフィットした判断ができるまでには、もう少し時間がかかるのかなという印象を受けました。

一方、弊社の事業領域が広がっている中で、契約書レビューだけでなく様々な領域の法務相談も多数寄せられています。属人的な対応にならないように、過去の経緯やナレッジがスムーズに法務部員間で共有される仕組みがより重要になってきています。MNTSQが提供する機能やナレッジ共有の考え方は弊社法務部の方針と相通じるものがあり、「ようやく私たちの課題を解決してくれる製品が出たぞ」という感じで導入を進めました。


  • MNTSQ CLMの導入に際して、社内調整で工夫されたことがありましたら教えてください。

中村:
経営陣にMNTSQ CLMの必要性をしっかり伝えるため、法務課が抱えている問題や事業部門における契約管理の問題を整理した資料を作成して説明しました。MNTSQ CLMの導入によってどれくらいの業務時間が削減され、どれくらいのコスト効果が期待できるのかを試算した表を盛り込んで、費用対効果の説得力を高められるよう工夫しています。

大西:
企業によってはクラウドサービスに対して懸念を示すところもあると思いますが、弊社の場合はちょうどクラウドへの抵抗感がなくなっていたタイミングでもあり、導入に際して障壁となることはなかったですね。社内でナレッジの共有を至るところで進めていたこともあり、経営陣のMNTSQに対する理解も非常にスムーズでした。

データ検索の精度・スピードが上がりナレッジ共有の意識も向上

  • MNTSQの導入によって実現したこと、得られた成果について教えてください。

中村:
導入前に見込んでいた効果の1つは、法務課における契約業務や法務相談業務における効率化です。具体的には、過去案件の調査、修正方針の検討、ドラフト・レビューなどがあります。まだまだ使いこなせていない部分もあり、定量的な効果を提示するのは難しいのですが、とくに検索性が格段に上がったことで工数削減効果はあったと実感しています。

ナレッジ共有においては、案件情報が自動的にMNTSQ CLMのデータベースに取り込まれるため、これまで手動でフォルダに移していた手間がかからなくなり大変助かっています。また、課全体としてナレッジを蓄積しようという意識が高まっている点も副次的効果の1つです。たとえば、各メンバーが受講したセミナーの資料をMNTSQ CLM上で共有したり、他の社員にも役立ちそうな資料を作ったときはMNTSQ CLMに取り込んで共有したりと活用範囲が広がっています。「気になる法務トピックス」と題して法務関連の有益な情報を全社向けに発信する場としても利用しています。

法務課員O:
私はやはり全文検索ができる機能が1番ありがたいです。これまでリサーチにかかっていた時間も短縮できているので、その分のリソースを有効活用できるようになりました。

大西:
MNTSQ CLMは蓄積される情報量や期間が増えるにしたがって、ナレッジ共有における価値がどんどん上がっていくところが特長です。一人ひとりの日々の業務が法務課共有の知見として蓄積されていく点はMNTSQ CLMの導入によって得られている大きな成果だと思っています。

法的リスクが広範囲に及ぶ企業にとってMNTSQ CLMの価値は高い

  • 今後、MNTSQ CLMやリーガルテックにどのようなことを期待していますか?

大西:
契約管理におけるリスクマネジメントについては、全社的にしっかり周知していかなくてはならないと考えているので、MNTSQ 契約管理には大きな期待をしています。事業部からすると、入力作業が面倒だったりストレスがあったりすると後回しにしたい心理が働くので、できるだけ簡便に作業できるよう、継続的にアップデートいただけると大変助かります。

中村:
私も同じで、全社的な契約管理システムとして各事業部にもっとMNTSQ CLMを有効活用してほしいと思っています。引き続き機能の充実や活用のご提案をいただき、今は積極的に利用していない人も使い始めるようなシステムとなるよう、ご支援いただけると嬉しいです。

法務課員O:
MNTSQには法務データ用にチューニングされたOCR機能があり、事業部が契約管理する際にとても役立つと思っているのですが、まだまだ活用が進んでいないところもあります。全社的に契約管理の意識を高めていく上で、OCR機能の更なる向上を含めサポートしていただけたらと思っています。


  • 法務部としての今後の展望を教えてください。

大西:
トラブルが起きてから対処するのではなく、将来的に起こり得るリスクをできるだけ早く捉えて未然の防止につなげたいという思いがあります。何か問題が起きた場合でも早期に適切な対処を提案して、その拡大を防止できることに貢献できる組織でありたいと思っています。過去のナレッジがすぐに取り出せる形で蓄積されていることは大きなメリットです。事後対応ではなく、新しいリスクを予見し対応できる組織へと進化させていくことで、法務部の価値はもっと上がっていくと考えています。

  • 最後に、MNTSQ CLMを検討中の企業様に向けてアドバイスをお願いします。

大西:
大量の情報を扱っている企業や事業領域が広い企業は、広範囲の法的リスクに対応しなければならないため、業務効率化の課題を抱えがちだと思います。また、製品ライフサイクルが長い事業の場合、契約管理をしっかり行わなくてはなりません。活用できる資料やデータが大量に蓄積されている企業にとって、データ集約や検索、ナレッジ活用が可能なMNTSQ CLMは非常に価値を感じる製品だと思います。

中村:
MNTSQ CLMを実際に使ってみて、データが自動で取り込まれたり整理されたり、必要なデータにすぐにたどり着けることの利便性を実感しています。また、若手社員にとっては、MNTSQ CLMがあることで先輩方がどういった回答をしているのか、どういう点を重視しているのかなどを参考にできるので、すぐに業務に活かすことができるという利点があります。法務業務を効率化したいという方は、ぜひ1度MNTSQ CLMのお話を聞かれてみてはいかがでしょうか。

法務課員O:
私は法務担当となって5年目ですが、MNTSQ CLMがあることで先輩方がどういった回答をしているのか、どういう点を重視しているのかなどを参考にできるので、すぐに業務に活かすことができています。若手社員にとっても、大変便利で頼りになる製品だと思います。

東和薬品株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。