マツダ本社内 マツダミュージアムにて
導入前の状況:これまでに取引がなかった国内外の企業との取引が増加する一方、法務部の人員増は困難
自動車業界を取り巻く環境の変化や、法務部の状況について教えてください。
福居:
自動車業界は、100年に1度の大変革と呼ばれる「CASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)」が大きなテーマとなっています。
電動化・コネクテッドに関わる契約案件も増加してきております。コネクテッドというのは、インターネットと自動車を接続し、IoT化することで様々なデータ連携を可能にすることを指します。ですので、コネクテッドを実現するためには、ソフトウェアやアプリを開発・提供するインターネット関連企業との連携が必須となります。これまでは長期的に取引のあるサプライヤーから部品を調達すればよかったところから、海外企業やスタートアップなど、これまでとは全く異なる企業群との新規契約が増加している状況です。
現在の法務部の体制はどのようになっているのでしょうか。
石川:
法務部には3つグループがあり、現在、私たちが所属する法務グループには14名が所属しており、主には国内外の法務案件・訴訟対応をしています。自動車の在り方が大きく変わりつつあり、当社も変革を進めているなかで、法務部の業務も非常に複雑化・多様化していますが、日本国内における労働人口の減少を考えると、人員増で対応することも難しい。
法務グループの業務が変わる中、対応品質を下げずに審査効率を上げる術はないかとリーガルテック系の製品をいくつか検討し、最終的にMNTSQを選択しました。
MNTSQ導入の決め手はどのような点だったのでしょうか。
石川:
ナレッジマネジメントの土台を構築できる点ですね。
AI活用による契約審査の効率化を実現する製品もいくつか拝見しましたが、私たちの場合はただ業務を効率化するだけではなく、100年にわたりビジネスを継続してきた会社の中で積み上げてきた契約関連のノウハウの効果的な活用を重視しました。その点でナレッジデータベースとAIによる活用を強みとするMNTSQがベストだと判断しました。
法務グループ マネージャー 石川様
導入前の課題:過去の膨大な契約関連情報が分散して保管されており探しにくい状況
MNTSQ導入前はどのような課題があったのでしょうか。
佐野:
創業100年を超える企業なので、契約関連の情報やノウハウは社内に豊富にあるはずなのですが、保管方法がバラバラで分散しており、自分が契約のレビューに困ったとき、どこに探しにいけばいいかが分かりづらい状態でした。
また、事業部からの審査依頼もWordに内容をまとめてもらい、メールで対応していました。審査担当者は上司と打ち合わせし、事業部とメールでやり取りしつつ、契約書レビューを行います。ですので、上司との議論や事業部とのメールでのやり取り、契約書など、契約レビューの経緯やアウトプットが一箇所に集約できていない状態でした。
MNTSQ導入プロジェクトの流れを教えてください。
永野:
2022年12月にトライアルを実施し、実際に利用することになるメンバー全員にツールを触ってもらいました。「検索機能が豊富」など感触は良好でしたね。
2023年の5〜9月で、法務業務に関するデータをMNTSQに集約する作業を開始し、10月から本格運用がスタートしました。正直、導入プロジェクトの推進は簡単ではありませんでした。ただ、事前に法務部門のメンバーの協力を得られるよう動いていたり、カスタマーサクセス担当の方に多方面でサポートいただいたりしたおかげで、無事完了できたと感じています。
法務グループ 永野様
実際利用されて、既に導入メリットを感じている部分はありますか?
佐野:
はい。やはり、過去の情報にアクセスしやすくなったのは非常に大きいですね。条文単位でも検索できるのがとても便利だとメンバーから聞いています。
あとは、契約書の最終版だけでなく、それに至るまでにどのような経緯があり、どのように意思決定してきたのかというメールのやり取りもすべて集約できるのも良いですね。思考の過程をたどることで、自分にも知見が蓄積できますからね。
法務グループ アシスタントマネージャー 佐野様
急速に変化する自動車業界で、あらゆる事態に柔軟に対応できる法務部を目指す
MNTSQに期待することをお聞かせください。
石川:
MNTSQ導入を契機に法務部門のあるべき姿を実現するという大きな目標を置き、契約審査基準の見直しなどの業務刷新に取り組んでいます。引き続き、MNTSQの利用促進と業務刷新を支援いただきたいと考えています。
最後に、皆さまが目指すマツダ株式会社の法務部の理想像を教えてください。
福居:
もともとは、企業としてのリスクをどれだけ最小化できるかという、守りの役割がメインだったと思います。もちろんその点が重要だということは今後も変わりませんが、これからは守りに徹しているだけではいけない。
カーボンニュートラルへの取り組みやCASEなど業界を取り巻く環境が大きく変化するなかでも、マツダはこれからも変わらず、「走る歓び」を進化させ続けお客さまの「生きる歓び」を通じて社会に貢献していくべく取り組んでいます。会社として様々な変化に柔軟に対応していけるよう、法務部も変化に強い組織であることが重要だと考えています。ですので、ビジネスの上流から法務が積極的に関わり、会社の変革をサポート、時にはリードできる攻めの法務部を目指して、私たちも進化し続けていきたいですね。

マツダ株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。