三菱自動車工業の法務DX:4つのシステム統合とナレッジマネジメント強化で実現した業務改革

三菱自動車工業の法務DX:4つのシステム統合とナレッジマネジメント強化で実現した業務改革

三菱自動車工業株式会社

導入の背景

・4つの契約管理システムに情報が分散し、過去案件の検索が困難

・ 事業拡大による業務の増加・複雑化でナレッジマネジメントが急務に

導入の効果

・案件をMNTSQ上で一元管理し、スピーディに検索できる環境に

・ナレッジ検索の利便性向上で、業務効率化や回答内容の統一を実現

三菱重工業株式会社の自動車事業本部が独立する形で1970年に設立された三菱自動車工業株式会社。設立当初から一貫して自動車の開発・製造・販売を行い、特にSUVの耐久信頼性技術や四輪制御技術、PHEV(プラグインハイブリッドEV)をコアとする電動化技術に強みを持ち、国内外で広く事業を展開しています。
三菱自動車らしいクルマをお客様に提供していくとともに、時代の変化に応じて新しい事業にも積極果敢に取り組み、「モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくります」というビジョン実現のためにあらゆるチャレンジを続けています。

従来の業務にとどまらず、急速に新規事業が増えていくなか、法務部の業務範囲が拡大・複雑化。業務範囲の拡大・複雑化に対応するため、複数のリーガルテックツールを検討された中からMNTSQを導入いただきました。 

今回は、法務部でMNTSQ導入と運用を主導した皆様に集まっていただき、導入前の課題や導入前後の変化、今後の展望についてお話を伺いました。

<参加者>
法務部 部長 小林 雄司様 
法務部 担当マネージャー 小原 大志様 
法務部 主任 芥川 拓也様 
法務部 北本 樹里様
※以下、敬称略
※2024年9月時点での役職です


4つの管理システムが混在&新規事業の拡大で業務範囲が増加・複雑化し、ナレッジ管理が急務に

  • まず、三菱自動車様の従業員規模と法務部の役割を教えていただいてよろしいでしょうか。

小林:
現在、当社単独では約14,000名、国内外のグループ会社も合わせた連結では約29,000名の従業員が在籍しています。MNTSQの利用者は前者で、約9,000名にアカウントを付与しています。法務部には30名程度在籍しており、担当範囲は欧州・アメリカなど地域ごとに分かれています。海外グループ会社にも現地のリーガル担当者が在籍しており、グローバルで連携しながら業務を進行しています。 

我々法務部の役割は大きくは2つあり、1つが会社の経営戦略のサポートです。新規事業の法的な確認や関連契約の相談役を担っています。もう1つは会社を守る役割で、各事業部で法律上の問題が起きた際は私達が対応します。直近では、業界の変化に伴い、社内外の環境が大きく変わってきているために従来の業務にとどまらず、業務範囲が拡大し、受ける相談内容も複雑化しています。

  • ありがとうございます。では、MNTSQ導入前にあった課題を教えていただけますか。

小原:
まず、当社法務部の成り立ちに起因する課題がありました。以前、当社においては法務部と知的財産部が分担して契約相談の対応に当たっていましたが、その後、知的財産部で契約を担当していたチームが、その業務ごと法務部に異動し、一つの組織となりました。 

そして、知的財産部では以前から導入していた契約管理システムがあり、異動後も継続して利用していました。一方、従来の法務部でも新旧2つの管理システムを利用しており、全社的に電子契約を管理するシステムも加えると、部内で4つも管理システムを利用していました。

小林:
4つそれぞれに契約関連のデータが分散して格納されているうえ、データの蓄積に関するルールや、保管形式も統一されていない状況でした。キャリア採用で新しく入社した社員も、どこでどのように情報を探せばいいか見当が付かず、検索だけで多くの時間が割かれていました。
加えて、業務が複雑化し、範囲が拡大しているなかで、個人が案件対応で得たノウハウを部門全体で共有して業務品質や効率を高めていかないと、今後対応が困難になって行くことが予想されます。そのため、データを一箇所に集約し、かつ誰でも過去案件をすぐに参照してノウハウを得られる環境を整備する必要があると考えました。

小原:
情報が分散していただけでなく、そもそも蓄積されていない情報も多くありました。過去のナレッジを参照する頻度やニーズがチームによって異なっていたことや、従来のデータ登録が手作業であったことが原因です。 

今回のシステム導入に際しては、データベースの一元化と同時に、データ蓄積に要する工数を削減し、部として一貫性のあるナレッジマネジメントを実現したいと考えていました。

小林:
法務部への依頼方法の統一も課題でした。従来は、契約管理システムの依頼フォームから依頼すべき案件と、メールで法務部の担当者に依頼する案件が分かれており、担当部にとっては分かり辛い面もあったため、依頼を受ける方法も統一する必要があると感じていました。

数十項目の機能比較表を作成し、複数ツールを細かく比較した結果、MNTSQがベストと判断

  • MNTSQはどのように知っていただいたのでしょうか。

小原:
部署のメンバーが教えてくれました。様々な大手企業が導入していて、実際に導入後も評判が良さそうだと。MNTSQのウェビナーに参加してみて、大企業の法務部向けに開発したという話を聞いて、組織改変や細かなセキュリティ制御にも対応してくれるだろうと思いました。 
あとは、MNTSQによって実現したいことをウェビナーで語る、板谷さん(MNTSQ Founder / CEO 板谷隆平)の熱量が素晴らしかったですね。 
現時点でMNTSQに機能面で足りないところがあっても、あの熱量があれば今後どんどん発展していくだろうという期待が持てました。
契約管理システムをいくつか検討するにあたり、少なくとも現在使っているツールよりも機能が不足している状態にならないよう、自社にとって必要な機能を洗い出して数十項目の機能比較表を作成し、細かく確認し比較を行いました。また法務部内のアンケートの結果も踏まえ、総合的に良かったのがMNTSQでした。

  • MNTSQ導入の決め手になった要素はあるでしょうか。

小原:
決め手を挙げるとしたら、ナレッジ蓄積の容易さです。メール自動連携機能を利用すれば、メールの内容と添付ファイルが自動的にシステム内に蓄積されるのは魅力的でした。手動で登録する手間がなくなるうえに、これまでのメールベースでの運用を変える必要がないので、導入にあたって担当部や法務部の負担があまり増えることがないのも大きなポイントでした。

  • ありがとうございます。導入プロジェクトはどのように始められたのでしょうか。

芥川:
まずは、4つあるシステムにそれぞれどのような情報が入っているのか整理するところからスタートしました。データの整理や移行を進めるうえで、データ加工など私たちの部署だけでは対応できない点もあったので、IT部門や社外のベンダーにも協力を仰ぎました。

  • では、導入自体もスムーズに進められたのでしょうか。

小原:
いえ、予想はしていましたが、4つのシステムから1つのシステムにデータを移行するのは大変でした。同じような項目でもシステムによってデータの持ち方が異なっていたため、データの標準化が必要でした。

北本:
予想外の事象が何回か起こりましたが、MNTSQのカスタマーサクセスご担当者が毎週の定例ミーティングでこちらの要望をしっかり吸い上げ、丁寧にコミュニケーションを取っていただき、助かりました。結果、現在は大きな問題もなく運用できています。

  • 現在は全社で9,000名の方がアカウントを利用されているとのことでしたが、どのように全社的な運用を実現されたのでしょうか。

小原:
利用マニュアルとシステム変更の背景・目的を社内に通知しました。個別の説明会は実施しませんでしたが、特に問題なく利用してもらっています。当初は、依頼フォームを利用することで法務部への相談のハードルが上がり、依頼が来なくなるのではないかとの懸念もありましたが、実際は導入前よりも増えているように感じています。

北本:
社内のイントラネットにも依頼フォームの案内を目のつくところに設置して、イントラネットのURLを案内すればすぐにMNTSQにアクセスできる仕組みにしています。気軽に相談して欲しいというメッセージも載せていますし、法務部の誰に相談すれば良いか知らなくても依頼できるので、以前よりも相談ハードルが低くなって問い合わせが増えたのかもしれません。

  • 法務部内での導入も特に問題はなかったのでしょうか。

小原:
そうですね。導入前の段階から部全体を巻き込んでトライアルやアンケートを実施し、ツール導入に対して同意が得られていましたし、大きな障壁はありませんでした。導入直前に部内で二時間程度の説明会を実施したこともあり、スムーズに運用開始できました。

従来の運用をほぼ変えることなく、ナレッジの一元管理、検索機能の向上、メール自動連携による業務効率化を実現

  • MNTSQ導入後はどのように活用されていますか。

小林: 
ナレッジ検索はよく利用していて、様々なシーンで役立てています。具体的なエピソードを1つお話しすると、以前会議の際に、役員が至急過去の法務案件情報を参照する必要が出て来たシーンがありました。その際、MNTSQ上でキーワード検索すると、必要な案件情報をすぐに見つけることができました。その情報は、以前の管理状態では検索してもヒットして来ない場所に保管されていたため、そこまでスピーディに見つけられなかったと思います。このように、キーワードでピンポイントに案件を探したい場合は非常に助かっています。 

北本 :
ナレッジ検索で過去案件の経緯や回答内容もすぐ確認できるので、法務部門からの回答内容を統一しやすいのも良いですね。キャリア採用で新しく入った方の助けになっています。 

芥川: 
従来よりも案件情報登録が容易になり、これまで見えなかった業務が可視化されたのも良い変化だと思います。誰がどの案件を担当しているのかがすぐに把握できるので、似たような相談が来た際、部内の誰に確認すればいいのか見当がつきやすくなりました。

  • 傾向としては、キャリア採用や若手の方が積極的に活用されているのでしょうか。

小原: 
確かにそのような傾向はありますが、社歴が長い人々も活用しており、部内全体で使用されています。

  • 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

小林: 
今後の方針の1つとして、誰がどの案件をどの程度担当しているのかを可視化し、業務配分にも活用し始めているので、上司である役員にも法務部の稼働状況を報告できる体制を目指しています。 

小原: 
次は、法務部内での運用ルールを更に整備したいと考えています。例えば、現状の運用ではファイル名に関して統一したルールはありませんが、MNTSQの中ではファイル名が重要な役割を担っているので、命名ルールを統一して、ファイル名から内容が推測できるようにした方が良いと考えています。一方で、複雑なルールにすると浸透しづらいので、うまくバランスの取れたルールにしたいと思っています。 

また、登録した情報の質が判断できるようにもしたいと思っています。過去の契約書には、交渉の結果、妥協案となった規定も含まれている可能性があります。安易に踏襲すべきでない契約書や条項にフラグを立てるなど、法務部として理想のナレッジをすぐに活用できる環境を目指したいです。 

さらにいえば、今は法務部内でのナレッジ管理と全社の電子契約の管理で利用していますが、将来的には全社のすべての契約書をMNTSQで一元管理し、法務部だけでなく、担当部も過去のナレッジを検索・活用できる状態に持っていくことが理想だと考えています。


三菱自動車工業の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

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