先人の知恵を受け継いで未来を作るナレッジマネジメントの実践
オムロン株式会社
・情報は蓄積されていても検索性が低く簡単にたどり着けない
・データが一元管理できておらず、知見共有のための業務負荷が大きい
・どの資料が何のノウハウとして活用できるのか、明確になっていない
・今までの比ではないほど早く欲しいドキュメントにたどり着くようになった
・最後のバージョンがどれか一目でわかり、情報へのアクセスが良くなった
日本を代表する電子機器メーカーのオムロン株式会社は、2022年よりMNTSQをご利用いただいています。オムロンでは、2030年に向けた長期ビジョンの実現に向けて、MNTSQを活用したナレッジマネジメントを実践しています。MNTSQ導入に至るまでの背景や、活用状況、今後の展望について、オムロン法務部の皆様にお伺いしました。
<参加者>
グローバルリスクマネジメント・法務本部 企画部長 村上 義明様
グローバルリスクマネジメント・法務本部 コーポレート法務部 担当係長 荻原 大様
グローバルリスクマネジメント・法務本部 コーポレート法務部長(兼)事業コンプライアンス部長
ニューヨーク州弁護士 小林 秀實様
(オンライン参加)
オムロン(中国)有限公司 上海分公司 リスクマネジメント法務センター 岩瀬 なぎさ様
※以下、敬称略
※写真左から(2023年1月時点の役職です)
法律を守り、健全に成長を支援する法務部門の役割は重要であり、経営層からの期待は高まる一方です
- オムロン様の法務部の体制について教えてください。
荻原:
オムロンの法務・リスクマネジメント部門の拠点は、国内は京都2拠点と東京の3拠点あり、ビジネスカンパニーに所属しているメンバーも含めると全体で50名ほどの部隊となります。海外では8拠点、50名のメンバーがリスクマネジメントと法務の業務に携わっています。当部門は、「会社を守り、健全な高成長を支援する」ことを使命に、以下のVisionを掲げ業務を行っています。
・コンプライアンス・リスクマネジメントの強固な仕組を構築
・リスクに強いビジネスモデル作りに貢献
・創造的・タイムリー・現実的な解決に導く
業務内容は、日常の法務業務に加え、コンプライアンス、法務インフラの整備、法務人材育成等を担っておりますが、近年重要度を増しているのがリスクマネジメントです。グローバルにおいて、地域、紛争のリスクなど様々なリスクに備える活動を行っています。
- 長期ビジョン「Shaping the Future 2030」において、法務部門に期待されている役割はどのようなものでしょうか?
小林:
新規事業を伸ばしていく上で、法務部門がより重要になってきています。今まではモノを作って売ることがメインでしたが、サービスやデータ領域の事業など、ビジネスの幅が大きく広がっています。新規事業を始める場合、法律的には落とし穴がたくさんあることが多いです。そこで、闇雲に戦っていくのではなく、法律を守り、社会と共生しながら健全な成長を支援する法務部門の役割は重要であり、経営層からの期待は高まる一方です。
法務部門としても、例えば岩瀬が担当している農業事業などは今まで我々になかった論点がありますし、サービス事業は川上から川下まで全体の理解が必要になり、知っておくべき法律のフィールドが大きく広がっていると感じます。
長年オムロン法務を支えてきた方々の知恵の蓄積が見つけられなくなってしまうことが非常に不安だった
- MNTSQ導入前はどのような課題を感じていましたか?
岩瀬:
MNTSQ導入前、情報の保存は共有サーバー、依頼対応などのコミュニケーションはメールやチャット、案件管理はExcelを使っていました。検索性が低いことが課題で、異動してきたメンバーや社歴の浅いメンバーは検索のコツがわからず人に聞くしかない状態でした。さらに個人や小さなチーム単位でのナレッジは日常的に蓄積・共有していたものの、組織横断的な共有のためには別途労力をかけて資料をまとめるなど、ナレッジ共有のための業務負荷が大きい状態でした。
上記のような課題の他、2030年を見据えたときに「個人の知恵を組織の価値に変えて、法務の新しい価値を見出したい。でもそのための材料(データ)が一元管理できていない」ということに課題感を持っており、今後の変革のためにも分散しているナレッジを集約しておきたいという思いがありました。
- MNTSQでナレッジマネジメントを導入しようと思ったきっかけは
岩瀬:
これは言い出しっぺの私から説明しますね(笑)
同年代のメンバーと10年後のあるべき姿を議論する中で、自分たちの時代になったときに、経営や事業の期待に応え続けられるのかという危機感を持ったのがはじまりでした。長年オムロン法務を支えてこられた方々がいなくなった後、その蓄積が見つけられなくなる、オムロンからなくなってしまうことを非常に不安に感じました。
短期的な業務効率向上であればMNTSQ以外にもいろいろなツールがありましたが、組織知を高めることにつながるイメージを持てませんでした。課題にフィットするものになかなか出会えなかったのですが、あるセミナーでMNTSQのことを知り、私が探していたのはこれかもしれない!と興味を持ちました。
- オムロンの組織知として共有したいリーガルナレッジとはどのようなものですか?
荻原:
オムロンにおいて、先人が様々な事象に対応してきた知恵を上手く活用したいと思っています。例えば、契約のドキュメントだけではなく検討中のメールのやりとり、さらに法律上の論点(個人情報、規制など)を深堀したケースや、担当省庁への手続きなど、過去の担当者の検討結果や実際に使った資料は活用できるようにしたいですね。新しい事業を計画する際には、必要な作業の順番や、大枠のスケジュール感がわかることが非常に重要なので、過去の経験の情報は共有し、最大限活用したいと思っています。
小林:
当社は「ノウハウを貯める」ということは以前からもよく実践していたのですが、どの資料が何のノウハウとして活用できるのか、明確になっていないという課題がありました。
業務で使い込むことでナレッジがたまるので、いかに日常業務に組み込むかが大事
- MNTSQを実際に使ってみていかがでしょうか?
荻原:
適切なワードさえ入れれば、今までの比ではないほど早くドキュメントにたどり着く部分は非常にありがたいと思っています。多様な条件から絞り込めるツールがあるので、属性やキーワードなどで柔軟に絞り込めるのも良いと感じています。メール連携機能により、取り込んだメールがスレッド単位で表示され、添付されているファイルもすべて一覧表示できる仕様は非常に使いやすく、最後のバージョンがどれか一目でわかるので、情報へのアクセスが良くなりました。将来的には、検索ワードの工夫をしなくても、自然言語で質問したらAIが意味を解釈して適切な回答を返すようなエンジンになったらいいな…という希望もあります(笑)
- 今後の展望や、MNTSQに期待することについて教えてください。
村上様:
法務部にとってナレッジマネジメントはますます大事になっていくと思っています。
我々の業務領域が広がり期待が高まる一方で、業務量も増えるため、効率化しスピーディに対応できるようにする必要があります。さらに、これからはメンバーの多様性も増していくため、オムロン法務流の考え方や仕事の仕方を共有するという意味でも、ナレッジマネジメントは非常に重要だととらえています。
MNTSQを導入することにより、日常業務とナレッジの連動性が高まり、蓄積したナレッジが取り出しやすく・検索しやすくなりました。ナレッジマネジメントを実践する基盤ができたと思っています。業務で使い込むことでさらにナレッジがたまるので、いかに日常業務に組み込んで活用を継続するかが大事。今後の展望としては、まずは使い倒すことです。MNTSQデータベースの付箋機能などを使い、社内で蓄積されているナレッジを、より良い、使いやすいものに育てていきたいと考えています。
また、蓄積されているデータを統計データとしても活用し、よく検索されているキーワードから雛形を修正するなど、法務部の業務状況を可視化し、世に言うDXのアプローチも実践していきたいと思っています。まずはMNTSQのデータベースを導入しましたが、MNTSQ案件管理、MNTSQ契約管理を活用し、法務にまつわる情報を一気通貫で管理・活用する使い方もぜひ検討していきたいので、ぜひ継続して支援をいただきたいと思います。
オムロン株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
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