一般的な企業法務からブランドアセットマネジメントまで、多岐にわたる案件管理の効率と精度を向上

一般的な企業法務からブランドアセットマネジメントまで、多岐にわたる案件管理の効率と精度を向上

株式会社資生堂

業種 素材・化学

利用プラン 案件管理

会社規模 10,001名〜

導入の背景

  • 文書管理システムによる案件登録業務の煩雑さ
  • 過去の案件検索機能が不十分

導入の効果

  • メールによる相談経緯を自動でデータベース格納できるようになり再登録の手間も不要に
  • 検索機能が向上し的確な過去案件の検索が実現

1872年日本初の民間洋風調剤薬局として東京・銀座で創業し、現在では約120の国と地域で事業を展開している株式会社資生堂。150年以上の歩みのなかで革新に挑み続け、日本発のグローバルビューティーカンパニーとして、美を通じて世界中のお客さまを幸せにする「ビューティーイノベーション」を創造しています。
株式会社資生堂法務部では、グローバルな事業展開に伴い増大する法務案件管理のさらなる効率化、そして30年にもわたって蓄積してきた案件データベースの精緻化を目的にMNTSQを導入いただきました。

今回は、株式会社資生堂法務部の皆さまに、MNTSQを導入する際にあった課題や導入後の効果、今後の展望についてお話を伺いました。

<参加者>

法務部 部長 丹野 大介様
法務部 ブランドアセットマネジメントグループ 菊地 直之様
法務部 ブランドアセットマネジメントグループ 小松 雅和様

※以下、敬称略
※2025年3月時点の役職です

目次

    契約関連のほか個人情報、各ブランドからの相談、商標など業務は多岐にわたる

    貴社の事業内容と、法務部の組織体制・業務内容について教えてください。

    丹野:
    資生堂は1872年、日本初の民間洋風調剤薬局として東京・銀座で創業しました。150年にわたって美容の領域で歩み続けてきて、現在は126の国と地域で事業を展開しています。事業はスキンケア、メイクアップ、フレグランスなどの化粧品を中心とした事業のほか、1902年創業の資生堂パーラーをはじめとしたレストラン事業、事業所内保育所の運営をサポートする教育・保育事業など幅広く展開しています。

    法務部の人数規模は23名(2025年3月現在)で、5つのグループで構成されています。一般的な契約関係業務や企業法務を取り扱う「リーガル1グループ・リーガル2グループ」、個人情報に関する案件を取り扱う「プライバシーグループ」、景品表示法に基づいた表示審査や模倣品対策を行う「ブランドアセットマネジメントグループ」、そして商標・意匠業務を扱う「商標グループ」です。MNTSQは商標グループを除いた4グループで導入しています。

    5つのグループのなかでも「ブランドアセットマネジメントグループ」は、あまり見られない御社の特徴的な部門かと思います。具体的にはどのような業務をされているのでしょうか。

    小松:
    資生堂では現在数十種のブランドを展開していますが、各ブランドに寄り添い、広告やマーケティングの施策全般について、相談を受ける役割を担っています。例えば、景品表示法など、法律に照らし合わせて問題がないかをチェックしています。

    もう一つの役割は模倣品対策です。主に海外でつくられた模倣品が国内外で出回っており、パッケージは一目で違うとわかるものもあれば、正規品そっくりで見分けがつかないものもあります。ただ、開けてみると内容物の匂いや性状が全く違い、肝心の成分が入っていないなど、とてもお客さまに使っていただけるような品質ではありません。商標を維持するのは商標グループが担っていますが、ブランドアセットマネジメントグループでは、そういった模倣品に関連する活動を行っています。

    相談のボリュームとしては、先に挙げたブランドからの相談のほうが多いという状況です。

    丹野:
    もう一つ、当社の特徴としては、グローバル体制が挙げられます。日本、米州、欧州、アジアパシフィック、中国、トラベルリテールという形で5つの地域本社制を敷いており、それぞれの地域本社に法務部があります。法務部門のトップはアメリカのチーフリーガルオフィサーで、そのチーフリーガルオフィサーの下、グローバルな案件については各地域の法務部が協力しながら対応しています。

    文書管理システムによる案件登録の煩雑さ、検索精度に課題

    MNTSQ導入前にあった、法務部の課題を教えていただけますか。

    小松:
    もともと弊社では、別の文書管理システムで案件管理をしていましたが、長く使っているなかで機能の不足を感じる場面も多くなっていました。そのため、「もっと業務を効率化できるような新しいシステムはないか」という声が、以前からありました。

    菊地:
    以前の文書管理システムに感じていた課題は、主に二つです。一つめは案件登録・管理の煩雑さです。大量の案件を担当するうえで、各案件の情報をデータベースに登録していくわけですが、この登録作業に負担を感じておりました。一件一件の作業時間はさほどではなくても、案件数が増えてくるにしたがって、全体で見れば大きな時間を費やすことになります。

    また、社内からの相談はメールで受け付けており、添付資料もあります。その添付資料にコメントを書き込み、メールに添付して返信してやり取りし、案件がクローズした段階で、メール本文と添付ファイルを電子化し、文書管理システムに登録していました。しかし、クローズしたと思い登録した案件でも、「やっぱりその後に変更があったため、もう一度見てほしい」というやり取りが発生することもよくあります。もう一度メールと添付資料をダウンロードして電子化、その後また登録し直す、という作業が発生します。二度手間を避けるために、案件のクローズを見定めようとすると、いつまで経ってもデータベースに登録できません。これが悩みの種でした。登録のタイミングも人によってまちまちで、漏れなく登録する業務スキームが構築できていないのが実態でした。

    案件管理の効率化が課題だったのですね。もう一点の課題についてはいかがですか。

    菊地:
    登録したデータの検索性です。以前のシステムだと、今担当している案件の検討を進めるうえでの参考になる類似のケースはないかと過去の案件を特定のキーワードで検索しても、そのキーワードがどこにも含まれていない案件のデータが検索結果一覧に多く表示されてしまう、ということがよくありました。せっかくデータベースに情報を蓄積しているのだから、それを効果的に活用すべくもう少し検索性が向上するといいなと感じていました。

    システマチックなデータベース管理を行う大企業に最適と判断しMNTSQを導入

    MNTSQ導入を決めていただいた経緯について教えてください。

    小松:
    以前の部長が長島・大野・常松法律事務所とつながりがありまして。監修しているリーガルテックということで紹介していただいたのが、MNTSQを知ったきっかけです。

    菊地:
    MNTSQは、すでに自社でしっかりとデータ管理をしている、ある程度大規模な企業の法務部に適したリーガルテックだと感じました。資生堂では1986年からシステマチックに案件管理をしていますが、蓄積された30年分の既存のデータも最大限に利活用しながら、新たなシステムを構築するには、MNTSQが最適だと考えて導入を決めました。

    移管すべきデータの棚卸しを行いながら、データベースの構造は保持してMNTSQに移行

    MNTSQ導入のプロセスについてお聞かせください。約30年分と、すでに蓄積されたデータベースのボリュームもかなりのものですが、どのように移行していきましたか。

    菊地:
    弊社では、先ほどお話しした文書管理システムに加え、クラウドストレージサービスも併用して様々なデータの管理をしていました。今でこそ「文書管理システムとクラウドストレージサービスで管理していたデータをMNTSQに移行しました」と言えますが、導入を決めた当初は、そもそもMNTSQに移管すべきデータは一体どのデータだろうか、というところから検討を始め、文書管理システムに加え、クラウドストレージのどのフォルダにどんな情報があるのかデータの棚卸しをしていきました。これはデータの移行担当者が一人で判断できるものではなく、部全体で協力しながら進めていきました。

    データの移行は大変だったのではないでしょうか?

    菊地:
    もともとの文書管理システムでは、フォルダ構造を複数の階層に分け、フォルダの名称にもルールを設けていました。前システムのベンダーと密にコミュニケーションを取りながら進める必要はありましたが、これまでと同じフォルダ構造、同じフォルダ名のまま移行することができ、移行自体はとてもスムーズでした。

    小松:
    とはいえ、30年分のデータ量は、けっこうなボリュームでしたよね。

    菊地:
    そうですね。移行のためのデータエクスポートも約5日間ほどかかりました。前システムの技術担当に作業してもらったのですが、スケジュール通りに作業が完了するか、ハラハラしながら見守っていました。幸いトラブルもなくエクスポートでき、無事MNTSQにデータをお渡しできてほっとしました。既存のデータを、アセットとしてそのまま残せたのは良かったですね。

    MNTSQ導入にあたり、法務部の皆さまの反応はいかがでしたか。

    菊地:
    MNTSQ社の導入支援のご担当者にもご協力いただきながら、当社向けにカスタマイズしたマニュアルを準備して法務部のメンバー向けに説明会を開きました。といってもMNTSQは直感的に操作できるようになっていますし、細かにフォローアップする必要はありませんでした。時々質問が来ることはあっても、クレームが来ることはなかったですね。

    小松:
    新しいツールやシステムに抵抗のない人もいれば、ちょっと苦手という人もいますから、大丈夫かな、と実はちょっとドキドキしていたんです。でもいざ導入してみたら、皆さんスムーズに使いこなしていて、心配することはなかったなと思いました。

    案件登録の工程は飛躍的に効率化、検索性も向上し的確な過去案件参照が可能に

    実際導入してみていかがでしょうか。

    菊地:
    課題だったデータ登録の効率化と検索性は非常に良くなりました。メールベースでの相談受付はこれまでと変わりませんが、案件ごとにMNTSQから個別のメールアドレスが振り出されるので、それをToやCcに入れるだけで、自動的にメールの内容がデータベースに登録されます。案件がクローズしたかどうか見定める必要もなく、一度登録したデータを入れ直す手間も省けるようになったので、データ格納の工程が改善、簡素化されたと実感しています。

    小松:
    法務部全体で扱う案件のおよそ4割は、ブランドアセットマネジメントグループのもので、細かな相談がほかのグループと比べても多いんですよね。

    各グループの人数はだいたい同じくらいなので、必然的にブランドアセットマネジメントグループでは一人あたりが抱える案件数が多くなってしまいます。その一つひとつの登録作業の効率化が実現したのは非常に助かっています。

    菊地:
    検索性についても、精度は向上したと感じます。先ほどお話ししたような、検索のために入力したキーワードとは無関係のデータが検索結果に混じるようなことは、まずなくなりました。

    事業に寄り添い、構造改革を実現する法務部へ

    今後法務部として取り組んでいきたいと考えている展望などを教えていただけますか?

    丹野:
    今、化粧品業界を取り巻く環境は急速に、大きく変化しています。資生堂としても、時代とともに革新を続けてより新しい価値を社会に届けるために、構造改革を積極的に推進している状況です。そのなかで法務部としては、きちんと事業に寄り添い、ビジネスパートナーとして構造改革を実現できる組織になることを目指して日々の業務に取り組んでいます。

    資生堂の皆さま、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

    セミナー・イベント

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    受付中 【デモを交えてご紹介】20分でわかるMNTSQ CLM

    日時:2025/04/16 (水) 17:00〜2025/12/31 (水) 18:00

    場所:オンライン

    受付中 【アーカイブ配信】24年日経弁護士ランキング「AI・テック・データ」部門1位の殿村氏が解説 AIに関する法規制の最新情報

    日時:2025/04/23 (水) 11:00〜2025/05/23 (金) 23:59

    場所:オンライン

    終了 新サービス「MNTSQ AI契約アシスタント」紹介セミナー

    日時:2025/04/22 (火) 14:00〜14:30

    場所:オンライン

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