「先人の知見を未来に活かす」AI契約レビューで実現する法務ナレッジの継承と標準化

「先人の知見を未来に活かす」AI契約レビューで実現する法務ナレッジの継承と標準化

オムロン株式会社

業種 機械

利用プラン 案件管理|AI契約レビュー機能

会社規模 10,001名〜

導入の背景

  • 「オムロンらしい」契約レビューの標準化が課題に
  • 他契約レビューツールは雛形ベースの回答で物足りず利用少

導入の効果

  • 若手メンバーや中途入社メンバーの即戦力化が推進された
  • レビュー品質の確保&ナレッジ共有の基盤の強化を実現

1933年立石電機製作所として創業し、レントゲン撮影用タイマの製造からスタートし、現在は日本を代表する電子機器メーカーとなったオムロン株式会社。

創業者の立石一真氏が掲げた「われわれの働きで、われわれの生活を向上し、よりよい社会をつくりましょう」という企業理念のもと、オートメーションのリーディングカンパニーとして、工場の自動化を中心とした制御機器、電子部品、駅の自動改札機や太陽光発電用パワーコンディショナーなどの社会システム、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開し、世界130ヶ国以上で商品・サービスを提供しています。

同社では2022年からMNTSQをナレッジマネジメントに活用いただいています。MNTSQが2024年にリリースした、蓄積した過去ナレッジから当該契約案件にとって重要性が高いと考えられるデータをAIが提案する「AI契約レビュー」機能もいち早く導入いただきました。

今回は、AI契約レビューを導入いただいた経緯や、実際に利用いただいた所感、法務部として目指したい今後の展望についてお話しいただきました。

<参加者>

グローバルリスクマネジメント・法務本部 コーポレート法務部 担当課長 ニューヨーク州弁護士 小林 宏樹様
グローバルリスクマネジメント・法務本部 コーポレート法務部 荻原 大様
グローバルリスクマネジメント・法務本部 コーポレート法務部 弁護士 八幡 晃司様
デバイス&モジュールソリューションズカンパニー リスクマネジメント法務 冨上 恵里様

※以下、敬称略
※2025年1月時点での役職です

目次

    世界130カ国で多様なビジネスを展開するオムロンを支える法務組織

    ※以前オムロン様にお聞きしたMNTSQ CLMの導入事例はこちら
    先人の知恵を受け継いで未来を作るナレッジマネジメントの実践

    まずはオムロン様の法務部の体制についてお聞かせください。

    小林:
    当社の法務部門は、社長直轄のグローバルリスクマネジメント・法務本部に所属しております。同本部には海外子会社法務部門への出向者を含む約50名が所属し、本社法務部に加え、制御機器部門や電子部品部門など国内の各事業部門単位でも法務部が設置されています。

    法務部では主にどのような業務を担当されているのでしょうか?

    小林:
    当社の各法務部門では日常の契約審査業務に加え、コンプライアンス、法務インフラの整備、法務人材の育成等を担っております。また、私の所属する本社法務部では新規ビジネス立ち上げ時の法規適合性の確認や、オムロンベンチャーキャピタル投資案件に関わる契約書の起案、交渉も担当しています。

    「テンプレ回答だけでは足りない」AI契約レビュー導入の背景

    MNTSQのAI契約レビュー機能を導入されたきっかけを教えてください。

    荻原:
    以前からMNTSQの「データベース機能」や「案件管理機能」を導入しており、リーガルテックを活用した法務業務の効率化に積極的に取り組んでいました。その中で、MNTSQ カスタマーサクセス担当の方から「AI契約レビュー機能」をご紹介いただき、検討を始めました。

    実は、以前にも他社の契約レビューツールを2種類ほど使ってみたことがあります。ただ、各ツールが持っている雛形をベースに答えが出力されるので非常にベーシックな内容が中心で、いつも同じような答えが返ってくるという印象でした。

    そのため、実際の業務にはなかなかフィットしないと感じていました。初心者が利用する分には気づきを得られると思うのですが、中級レベル以上になると使わなくなる傾向にありました。

    どのような課題から、契約レビューツールの導入を検討されていたのでしょうか。

    荻原:
    法務担当者によって回答の品質にばらつきが出てしまう点です。どうしても経験や職歴によって差があります。また、法律事務所から出向されている方にとっては、「オムロンらしい答え」がわかりにくい状況でした。どのような担当者でも、スピーディにオムロンの考え方や方針を反映したレビューができる状態を目指しました。

    先輩たちの知見を活かし、誰でもすぐにオムロンらしい回答ができるように

    MNTSQのAI契約レビュー機能を選んでいただいた決め手を教えていただけますか。

    荻原:
    MNTSQは、これまで社内で蓄積してきた契約書の中から関連性の高い契約を条項単位で探し出して、Microsoft Word上に直接表示してくれるので、過去の案件をベースにレビューする手間が大幅に減りました。先輩方の知見を活かし、新たな案件を確認できる点に魅力を感じました。

    冨上様は比較的入社されて間もないと伺いましたが、実際に利用された所感はいかがでしょうか。

    冨上:
    はい、私は入社して電子部品部門の法務部に配属され、まだ2年目で経験は浅いのですが、AI契約レビュー機能を活用して、蓄積された過去案件から学びながらレビューができているのでとても助かっています。

    例えば、自社の契約書の雛形に対して相手方から修正が入ったときに、オムロンとして許容できるものなのかを過去の案件から検索したり、相手方のフォーマットで契約書が送られてきたときは、リスクのありそうな条項を見て、過去の他社契約書と書きぶりを比較したりしています。

    AI契約レビュー機能では、契約書の条項と過去の契約書の内容が一覧で表示されるため、視覚的にもわかりやすいです。また、過去の契約書の内容をクリックすると、過去の案件の対応履歴も連携されているので、その条項に至った経緯もすぐ確認でき、使いやすいです。

    八幡様は弁護士として法律事務所から出向されているとのことですが、どのように活用されていますか?

    八幡:
    契約書の基本的な書き方は理解しているのですが、やはり「オムロンにとって最善の回答」をするには、社内の過去案件との比較・吟味が必要になります。オムロンとして譲れる部分と譲れない部分、どこまでは許容できるのかを、背景事情含め、過去の契約書の条項単位で比較して調べることができて非常に有用です。

    欲しいナレッジをすぐに引き出せるので、教育期間を短縮できる

    メンバー教育という面から見てはいかがでしょうか。

    小林:
    MNTSQは、いちユーザーとしても使いやすいですが、マネージャーとしても多くのメリットを感じています。他社から転職されてきた方や入社して日が浅い方に対して、「オムロンらしい回答」を伝えていく必要がありますが、そのために以前はサーバに保管されている過去案件から類似案件を探して説明する、という時間が必要でした。現在はAI契約レビュー機能が関連性の高い情報をすぐに検索・提案してくれますし、過去の経緯にも簡単にたどり着けるため、法務内教育が大幅に効率化できたと思います。

    また、ノウハウの伝承がとてもスムーズになりましたね。UIもわかりやすく、新卒・中途社員関係なく活用できています。特に、中途社員の即戦力に至るまでの期間を短くしてくれるツールだと感じています。

    AI契約レビュー機能へのご要望はいかがでしょうか。

    荻原:
    「レビュー」機能を充実してもらえると嬉しいですね。例えば、曖昧な日本語の表現を指摘できるようになると良いと思います。自分で作成した文章の中に、読み手によっては異なる意味に捉えられる表現や、誤認されるリスクがある場合は、それらを極力減らすためのアドバイスをもらえると良いなと。

    教育的な観点も踏まえると、単に「こちらの表現のほうがいいですよ」ではなく、「この表現だと、このようなリスクがありますが大丈夫ですか?」といった気づきを与えてくれる問いかけがされるとうれしいです。

    八幡:
    私の場合、 法律の条文を確認することが多いので、例えば契約書に「個人情報保護法第27条」のような記載がある際、そこでクリックするとすぐに法律の内容が表示されるようになると更に効率化できて嬉しいです。

    冨上:
    現在レビューしている会社と、過去にはどのような契約をしていたのかが検索結果に表示されるといいなと思います。

    「楽しく働ける組織へ」オムロン法務部が目指す未来の姿

    最後に、今後の法務部のビジョンについてお聞かせください。

    荻原様:
    近年、法務業務がどんどん複雑化しています。たとえば個人情報保護の問題だけを取っても、時間をかけて確認しなければならないことが多くなっており、MNTSQにも業務の複雑化に対応するためのサポートをしていただけると嬉しいです。普段の業務を効率化し、法務関連の新しい情報をキャッチアップしやすいような仕組みを整備したり、学ぶ時間を確保していきたいです。

    八幡:
    ナレッジを共有していくことは非常に重要です。専門職は属人的な仕事になりやすく、ナレッジの共有がしづらい側面があるので、法務で連携して共有知を形成していかなければなりません。その一助としてAI契約レビュー機能をさらに活用したいですね。

    冨上:
    私は電子部品部門の法務を担当していますが、それぞれの事業部ごとでビジネスや扱っている製品、部門体制も異なります。それぞれの事業部に応じたレビューをすることで、ビジネスの実態に合わせた契約書のレビュー・提案ができるようになりたいです。

    弊社の場合、MNTSQで事業部ごとにアクセス権限を分けているため、その事業部に合わせた契約書を提案してくれます。今後、よりMNTSQが進化することで、事業部ごとにさらに最適化された法務審査ができるツールになればよりありがたいなと思います。

    小林:
    私たち法務は限られた人材で業務を回していかなければなりません。以前、若手のメンバーに話を聞いて回ったところ、業務の3~5割はNDA(機密保持契約)や業務委託契約などのシンプルな契約に時間を割かれているとのことでした。NDAは新たなビジネスの起点となる重要な契約ではありますが、可能な限り効率化して時間を削減し、より知的好奇心が刺激されて、楽しい仕事ができるような法務部にしていきたいですね。

    オムロン株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

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