5名体制でグループ会社を含めた法務支援業務、コンプライアンス推進に従事
貴社の事業内容について教えてください。
M:
古野電気株式会社は、1948年に世界で初めて魚群探知機を実用化して以来、船舶用電子機器のトップメーカーとして、安心・安全、そして効率的な航行を支える製品とサービスを提供しています。また、船舶用電子機器事業で培った技術を応用し、ヘルスケアの生化学自動分析装置や、GPS受信機、ETC車載機、ITS(高度道路交通システム)機器など情報通信分野へと事業を広げています。社員数は国内のグループ会社を含めると2,000名あまり、海外のグループ会社も含めると3,000名を超えます。
法務部門の組織体制・業務内容について教えてください。

M:
法務室は現在5名で運営しています。主な業務内容は契約書審査、法律相談対応といった法務支援業務と、コンプライアンス推進業務の二つに大別されます。MNTSQは法務支援業務で導入しており、契約書審査や契約書管理、及び法律相談業務に活用しています。
なお、国内のグループ会社には法務部門がないため、本社の法務室が支援をおこなっています。契約書審査は件数にして年間およそ500件にのぼります。海外のグループ会社については直接支援をおこなっていませんが、国内のグループ会社が締結する契約書には英文・和文含めて対応しています。
MNTSQ導入にあたっては、M様が所属されている法務部門と、T様、D様が所属されているIT部門が連携して進めてこられたと伺っています。IT部門の体制についてもお聞かせください。
D:
IT部は50名ほどの組織で、グループ会社も含めた社内システム全般を管理・運用しています。システム構築などを行うほか、ヘルプデスク業務もIT部で行っています。
最近ではAI活用を積極的に推進しています。社内の技術情報やサービスマニュアルをAIに学習させ、若手のサービスエンジニアが必要な情報にアクセスできる環境の整備などに取り組んでいます。
既存システムのサービス終了に伴い、IT部門と連携して検討した必要機能と「プラスアルファ」の価値
MNTSQ導入のきっかけを教えてください。
M:
古野電気では、全社で統一してグループウェアを使用し、法務室でも契約書審査、契約書管理に活用していました。十数年にわたってその体制が続いていたのですが、このグループウェアのサービス終了に伴い、法務室では契約書審査、契約書管理機能のある新たなシステムを探すことになりました。
D:
全社で同じグループウェアを使っているため、サービス終了に伴い、法務室だけでなく、各部門のシステムを同時並行で移行検討することになりました。例えば電子稟議システムや各事業部に特化したワークフローの構築などについては、現在進行形で進んでいます。その中でも契約書審査、契約書管理については全社に関わるシステムであり、重点プロジェクトの一つとして推進してきました。
これまで使っていたシステムからのリプレイスにあたっては、どのような観点で検討されたのでしょうか。
M:
既存システムで業務フローは安定して運用している状態でしたから、そのフローを大きく変えることなく、負担なく業務に取り入れられるようなシステムを探していました。
また、現在の法務室のメンバーは私を除いて4名は中途採用で、すでに法務関連業務のスキルを積んできた人材です。そのことに加え、通常業務で手一杯だったこともあり、これまで育成の観点からのナレッジマネジメントは、あまり重視していませんでした。
しかし、業務を行う上でのナレッジマネジメントには課題があり、例えば過去の事例を参照しようと思っても、これまでのシステムだと検索性は低く、メールでの事例相談もキーワードが件名に入っていなければ見つけるのも難しいという状態でした。そういった課題を感じていながら、リプレイスをきっかけにMNTSQを知り、ナレッジマネジメントにも意識を向けるようになった次第です。
単に既存機能の代替だけでなく、先を見据え将来的なナレッジ活用や業務高度化に繋がる機能があるかも、選定の際には重要なポイントでした。
検討のプロセスについても教えてください。
M:
まずはIT部でいくつかサービスをピックアップしてもらい、法務室と一緒に機能の検討を行っていきました。
D:
冒頭でもお話したように、全社的にリプレイスの検討を始めたという経緯があるため、最初からIT部も関わりながらシステムの選定を進めていきました。法務室のメンバーにトライアルを含めて一緒に検討してもらい、すごくいい流れで進められたと思います。
M:
そうですね。DさんはじめIT部のメンバーとは、いろいろと情報提供をしてもらうなど、普段から良好なコミュニケーションがとれている関係性だったというのは大きいと思います。
部門起点でシステム導入を進める企業も多い中、IT部門と密に連携してシステム導入を進められるのはとても心強いと思います。導入にあたってはいくつかサービスを検討したとのことですが、いかがでしたか。
M:
MNTSQを検討する前に2社、トライアルまで至りました。1社はシステムが複雑なことや、承認フローの組み立てが細かく、法務室目線でも導入は現実的ではないと判断しましたし、IT部門の負担軽減には繋がらないと判断しました。
もう1社は、チャットベースで管理していくシステムで自由度は上がりますが、既存の運用フローとの整合性に関して懸念点がありました。
両社のシステムバランスをそれぞれ見て、導入は後者でほぼ決まりかけていたのですが、ちょうどそのタイミングで、MNTSQのことを知りました。すぐにお問い合わせしたところ、即レスポンスをいただき、ユーザー会で他社事例等も拝見して、話が進んでいきました。
MNTSQ導入の決め手となったのはどんな点でしょうか。
M:
まず、グループウェアで行っていた契約書審査、契約書管理ができることは必須条件として考えていました。これに加えて、契約書の検索性の高さによるナレッマネジメントの強化や、AI契約レビューといった、それまでにない機能に魅力を感じたというのが大きいです。MNTSQ導入によって、業務に高い付加価値が生まれるイメージができたというのが大きな決め手になりました。
D:
IT部の観点では、認証システムの「Okta」と連携でき、その実績がある点もMNTSQ導入の決め手になりました。全社的に各システムをOktaと連携させる動きがありましたので、万一MNTSQが連携できなければ選択肢から外れていたと思います。
導入までの工程を明確に示し、MNTSQのコンサルタントとも密に連携しながら移行を実施
導入のプロセスについてもお聞かせください。既存システムのサービス終了を視野に、シビアなスケジュールが求められたかと思いますが、どのように進めていきましたか。
M:
MNTSQ導入を2023年12月に決め、新年度の2024年3月から移行をスタートして、10月に全社展開をする、8か月のプロジェクトとスケジュールを定めました。
MNTSQコンサルタント 宮本:
古野電気様からは、全社展開に至る工程を細かに想定したスケジュールのご要望がありました。全社展開に至るまでに段階を踏んで移行をしていくことを考えて、時期ごとに実施すべきことのイメージを持っていただけていました。
D:
ほかの移行プロジェクトも同時並行で動いていたため、MNTSQ向けのデータをどの時点で出すのか明確に示してもらえたのは、とてもやりやすくて助かりました。
移行にあたってはどんな懸念点がありましたか。
M:
10年以上使い続けてきたシステムから、大量のデータを移行する点を懸念していました。契約書の審査が年間500件、それが10年分で約5,000件。締結版の契約書は13,000件ほどありました。すでに終了している契約書もありますから、その中から一体どれを移行させるのか、選定をする作業は少し大変な思いをしましたね。
移行対象は法務室で選定して、実際に移行するにあたってはDと話し合いながら、IT部でフォーマットを整えてもらってMNTSQにお渡ししていきました。

T:
案件そのものの整理もそうですが、契約書にはいろいろと付随情報もありました。その要不要の判断もしながらデータのクリーニングをしていく作業も必要で、これはデータ移行には相当工数がかかるなと思っていたのですが、MNTSQより移行のためのエクセルベースのフォーマットを提供してもらい、そのおかげでよりスムーズに移行データの整理を進められたのはとても助かりました。
膨大な移行データは大変だったと思います。その後は、移行はスムーズに進みましたか。
M:
移行は2段階で行いました。1回目のデータ移行から本格稼働までに2か月ほど期間をおいたのですが、その間に前システムでデータが更新され、差分データが生じます。これについても2週間程度で移行を完了していただきました。これは間に合わなくても仕方ないなと思っていたのですが、全社展開のタイミングで前システムのデータが反映された状態でスタートすることができたのはありがたかったですね。
T:
当社が独自で管理している項目についても、カスタムフォームという形でそのまま移行することができました。柔軟に対応していただいたおかげで、前システムのデータの構造を損なうことなく移行できたことにはとても満足しています。
導入までのプロセスではMNTSQのコンサルタントがサポートさせていただきましたが、その点はいかがでしたか。
T:
導入の際は、毎週1回はミーティングの機会を持ち、細やかにサポートしていただいたおかげで、安心して導入スタートすることができました。
週次ミーティングでは、MNTSQ側から毎回アジェンダが用意され、また、事後には議事録を丁寧に収めて毎回お送りいただきました。私はプロジェクトに途中から参加したのですが、自分が参加する前の議論もその資料を読むことでキャッチアップすることができ、とても助かりました。
M:
こちらからの懸念点や疑問については、ミーティングのほか別途メールなどでも相談していましたが、迅速に、かつ丁寧に回答していただけました。あやふやな返事や、こちらのやりたいことが本当にできるのか分からない不安になるような回答はありませんでした。把握している範囲のことはすぐにレスポンスがあり、確認が必要な部分についても次のミーティングで必ず回答を用意してくれましたし、もしできないことがあったとしても、代案や次善策の提示がありました。安心して、スムーズに導入を進めることができたのは、このようなやり取りに支えられてのことでしたね。
MNTSQコンサルタント 宮本:
ありがとうございます。古野電気様が思い描いた形でMNTSQの導入を成功させることができたのは、古野電気様が遠慮なく質問してくださった、ということもあります。望んでいる業務体制も、大事にしていることも非常に明確でした。また法務室様、IT部様のどちらも疑問点があればすぐにお伝えくださったので、私たちもご懸念の把握がしやすく、良い形でプロジェクトを進めていくことができました。
全社展開にあたって、運用で困った点などはありましたか。
M:
MNTSQの契約書管理は台帳方式ですが、前システムでは契約書単位で管理をしていました。以前は契約書単位で個別に閲覧権限を付与していたのですが、MNTSQでは部門ごとの台帳に対して閲覧権限を付与します。そのため、別部門のメンバーが必要な契約書を閲覧できないといった困り事が生じましたが、MNTSQのコンサルタントに相談して、部門をまたいだ台帳を作成することで解決できました。
前システムの業務フローを活かしてスムーズに業務を移行。今後はナレッジマネジメント機能を活用し遂行力を強化
MNTSQの導入によって得られた成果について教えてください。
M:
契約書の審査・管理といった基本機能は問題なく活用できています。法務室としては、もっと機能を使いこなしたいというもどかしさを感じることもありますが、事業部門の皆さんは特に支障なくMNTSQを使っています。
T:
社内向けの説明会は行わず、マニュアルを準備したのですが、皆さんそれだけで理解して使いこなしていますね。
M:
相談時にメール連携機能なども活用してくれるようになっています。メール連携機能もそうですが、システム以外からもデータを入れられるのはMNTSQの便利なところですね。タグ付けやお気に入り機能も活用しながら、体系的な管理ができるようになったと感じています。
D:
IT部としては、MNTSQ導入によってシステムメンテナンスの工数が削減できました。組織変更や人事異動に伴う担当者変更も、以前はIT部でプログラムを作って一括で変更するといった作業を行っていましたが、MNTSQ導入後はその必要もなくなりました。そのために充てていた時間を法務室からの相談やほかの作業に集中できるようになったのも導入の効果ですね。
導入時に活用を想定していたナレッジマネジメント機能についてはいかがですか。
M:
導入までに業務フローを構築し、導入後は半年弱の間、社内でのMNTSQの理解推進や問い合わせ対応が多くを占めていました。運用のベースが整ってきたところですので、今後ナレッジマネジメントの体系を整理していきたいと考えています。
今後、MNTSQを活用しながらどのように法務室の運営をしていきたいか、展望をお聞かせください。
M:
今描いている理想は、契約書の審査や法律相談の履歴に容易にアクセスできる状況の実現です。案件絞り込みや社内推奨、タグ機能など機能をフル活用し、蓄積されたデータの価値を高めていくことで、今いるメンバーには業務効率化、今後経験の浅いメンバーには育成の効果が生まれます。MNTSQを活用することで、法務室の遂行力の強化を図りたいと考えています。
古野電気株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。