「本音を共有する会」から始まった法務DX。石原産業が若手主導で、年間約200時間を取り戻すまで

農薬・酸化チタンを手がける石原産業では、契約審査に特化した10名の法務部が、依頼メールの手作業PDF化や20年以上前のAccessによる契約管理といったアナログ運用に限界を迎えていた。若手主導のボトムアップでMNTSQのCLMを導入し、20年分のデータ移行を経て「脱・手作業」を実現。事業部約500アカウントへの展開もスムーズに進み、契約期限管理業務は年間約200時間から約1/3に削減、契約管理全体では年間200時間以上の削減を見込んでいる。

「本音を共有する会」から始まった法務DX。石原産業が若手主導で、年間約200時間を取り戻すまで

石原産業株式会社

業種 素材・化学

利用プラン 契約管理|案件管理|AI契約レビュー機能

会社規模 〜5,000名

導入の背景

  • 案件管理は、依頼メールの本文も添付も1件ずつ手作業でPDF化してサーバーに保存する運用。管理番号も連携しておらず、過去の審査経緯を1件探すのに30分から1時間かかることもあった。
  • 契約管理は20年以上前に作られたAccessに依存。設計図も残らずブラックボックス化しており、改修もできないうえ、新規契約のたびに台帳へ1件ずつ手入力する負担が続いていた。

導入の効果

  • キーワードで契約の中身まで検索でき、1案件の履歴も一画面で追えるように。事業部の約500アカウントへの展開もスムーズに進み、四半期ごとに手作業で行っていた契約期限の通知業務も半分ほどが自動化された。
  • 契約期限管理だけで年間延べ約200時間を要していた定型業務が約1/3に。契約データの入力作業等も含めれば、契約管理全体で年間200時間以上の削減を見込む。空いた時間を、契約の中身を読むという本来の業務に振り向けられるようになった。

農薬や酸化チタン(白色顔料)を二本柱に、機能性材料や動物用医薬品まで幅広く手がける石原産業株式会社。単体で約1,000名、グループ全体で約1,800名の規模を誇り、海外にも広く拠点・子会社を展開しています。

同社の契約法務を担うのは、契約審査に特化したわずか10名の法務部。そこでは、依頼メールを1件ずつ手作業でPDF化する案件管理や、20年以上前に構築されブラックボックス化したAccessによる契約管理など、長年“アナログな手作業”が続いていました。

全社的なDXの号令がかかる中、この状況を打破したのはトップダウンの指示ではなく、現場の若手メンバーたちでした。過去に別のAIレビューツール導入で苦い失敗を経験した同部が、なぜMNTSQを選び、ボトムアップでの変革を成し遂げられたのか。

今回はプロジェクトを牽引された法務部の4名に、ボトムアップで進めた経緯や製品選定の決め手、20年分のデータ移行の苦労、そして現在実感している定量的な変化について、石原産業様を担当するMNTSQカスタマーサクセスの後藤がお話を伺いました。

<参加者>

法務本部 法務部 第一契約法務グループリーダー副部長 A様
法務本部 法務部 U様
法務本部 法務部 K様
法務本部 法務部 O様
MNTSQ カスタマーサクセス担当 後藤 萌心

※以下、敬称略
※役職はインタビュー当時のものです

目次

    ◾️ 農薬と酸化チタンを支える、契約法務に特化した10名の法務部

    MNTSQ 後藤:はじめに、石原産業様の事業内容について教えてください。

    A:
    弊社は大きく「有機事業部門」と「無機事業部門」という2つの柱で成り立っています。

    有機部門は農薬がメインで、最近では動物用の医薬品も手がけています。

    一方の無機部門の主軸は、白い顔料である「酸化チタン」です。世の中にあるあらゆる「白いもの」に大抵入っている素材で、ここから派生した機能性材料も扱っています。

    企業の規模としては、単体で約1,000名、グループ全体で約1,800名ほどになります。

    MNTSQ 後藤:その規模の事業を、法務面ではどのような体制で支えているのでしょうか。

    A:
    法務機能を持っているのは石原産業本体とアメリカの子会社だけで、国内グループ会社の法務は私たち本体が引き受けています。そのため、MNTSQも国内の関連会社を含めて一緒に活用しています。

    現在のメンバーは10名で、第一契約法務グループと第二契約法務グループの2つに分かれています。どちらも業務内容は同じですが担当する部署が異なり、なかでも農薬部門が一番案件数が多いですね。ちなみに、コンプライアンス業務は別の委員会が担当しているため、私たちは「契約法務」にほぼ特化しているのが特徴です。

    MNTSQ 後藤:グループ全体を10名でカバーする中で、特に大切にされている流儀はありますか。

    A:
    流儀と言えるものはありませんが、契約法務に特化し、契約の文言を、非常に細かくチェックしていることが特色として挙げられると思います。扱う契約類型としては秘密保持契約(NDA)が最も多く、最近は業務委託関係が増えています。契約の更新や延長なども含めると、その2つだけで全体の7割ほどを占めています。

    ◾️ 手作業のPDF化と20年以上前のAccess。限界を迎えていたアナログ運用

    MNTSQ 後藤:続いて導入のきっかけについて伺います。MNTSQ導入前、案件管理と契約管理にはどのような課題があったのでしょうか。

    A:
    一言でいうと、全社的なDX推進の号令がかかるなかで、法務における「案件管理」と「契約管理」の双方が完全に限界を迎えていたことです。まず「案件管理」ですが、事業部からの相談メールが法務部の共通アドレスではなく、担当者個人のメールに直接届いていたため、事業部側にとって「そもそも誰に相談すればいいのか分からない」状態になっていました。

    さらに、届いた相談メールの本文や、添付されているWord・PDFなどを、すべて手作業で1つのPDFファイルに統合し、日付順にファイルサーバーへ保存するというアナログな運用を続けていました。

    MNTSQ 後藤:メール本文も添付ファイルも、わざわざ1件ずつ手動でPDF化して格納していたのですね。その作業はどなたが担当されていたのでしょうか。

    U:
    もともとは専任の庶務担当の方が担ってくださっていたのですが、その方の異動に伴い、法務部員が各自で対応することになり一気に負担が重くなりました。

    もとをたどれば、かつて「紙に印刷して回覧し、最後にスキャンしてサーバーに入れる」という紙文化があり、その名残で手作業の手間だけが残ってしまっていたんです。事業部へ返答しつつ、裏でせっせとPDF化の作業も行う必要があり、地味ながら毎日の大きな負担でした。

    MNTSQ 後藤:昔の紙運用のルールが、デジタル化後も形を変えて現場を縛っていたわけですね。そうなると、過去の審査経緯などを遡って検索する際も、かなり苦労されたのでは?

    U:
    そうなんです。法務の仕事柄、新しい相談が来ると「原契約の締結時にどういう経緯でこの文言になったのか」を確認する機会が非常に多いんです。

    しかし、当時のシステムは契約書の管理番号と相手先の管理番号が全く連携していなかったため、わずかな手がかりを頼りにファイルサーバーの深い階層フォルダを自力で掘り進めていくしかありませんでした。過去の経緯を1件見つけ出すだけで30分から1時間かかることもあり、非常に非効率な状態でした。

    MNTSQ 後藤:データを「格納する」のも「探す」のも、すべて人力頼みだったと。もう一つの課題である「契約管理」では、20年以上前のAccessを使い続けられていたそうですね。

    U:
    はい。2000年以前に社内の人間が構築したものらしく、当時の設計図が全く残っていませんでした。イメージとしては、社内にいた「Excel職人」のような精通した方が、Accessを使って高度な仕組みを作り込んで残していってくれたという感じです。

    ただ、中身が誰にも分からないブラックボックス状態で、動作も重く、操作を一つ間違えるとシステムごと落ちてしまう。当然、自分たちでは改修やカスタマイズが一切できませんでした。その上、新しく契約が締結されるたびに、台帳へ情報を1件ずつ手入力していく必要もあり、その作業自体も地味な負担でした。「もし今、このシステムが壊れたらどうなってしまうのか」という恐怖が常にあったんです。

    ◾️ きっかけは「本音を共有する会」。若手が当事者意識で動いたボトムアップ改革

    MNTSQ 後藤:全社的な方針があったとはいえ、法務部として具体的に「システムを入れて変革しよう」と舵を切った決定的なきっかけは何だったのでしょうか。

    A:
    2024年7月に、他部署から新しい部長が着任したことです。法務の専門知識がない方だったからこそ、客観的な視点で「古い課題を徹底的に解決しよう」と、変革の舵を切ってくれました。

    「ベテランに遠慮せず、若手中心でDXを推進してみたらどうか」と。現場に裁量を丸ごと委ねて背中を押してくれたのが、すべての始まりでしたね。

    MNTSQ 後藤:上からの押し付けではなく、「現場のあなたたちが主役だ」と任せてもらえたわけですね。そこからUさんたちは、どのようにプロジェクトを始動させましたか。

    U:
    私は中途入社なので、外の目で見て「なぜこんなアナログなことを……?」と違和感を覚える場面が多かったんです。そこで一度、若手だけを全員集めて「本音を共有する会」を開きました(笑)。

    「こんなめんどくさい作業、やってられないよね!」という本音を1時間ほどぶつけ合いました。その結果、「やっぱりシステムを入れて業務を根本から変えたい」という全員の共通認識ができ、「じゃあ自分たちで動かしてみます」と手を挙げました。

    MNTSQ 後藤:日頃の「やってられない」というリアルな本音が原動力になったと。一方で、新卒入社されたお二人は他社のやり方を知らない状態だったと思いますが、それでも当時の運用に違和感を持たれていましたか。

    K:
    はい、すごく感じていました。私が以前所属していた第二契約法務グループはとにかく案件数が多く、一方でメンバーが少なかったため、本当は契約書の中身をじっくり精査したいのに、PDF化などの作業に時間を奪われるのが常々もどかしくて。

    入社1カ月目に「メールを紙に印刷して、それをDocuWorksに変換して保存して……」と教わったときは、正直「何のために?」と大いに疑問でした。だからこそ、若手主導で「自分たちの手で変えられるチャンス」が巡ってきたのは、本当に嬉しかったです。

    O:
    私が入社した頃にはペーパーレス化していましたが、それでも返答の裏で一回一回PDF化する作業は残っていました。新卒時のOJTでは、本業の審査より前段階の「周辺作業」が多すぎて、「一体何を覚えればいいんだ……」と圧倒されたのを覚えています。

    当時はそれが当たり前だと思って必死にこなしていましたが、DXプロジェクトが始まって初めて、「あの作業はやっぱり異常に大変なものだったんだ」と気づかされました。

    MNTSQ 後藤:新卒・中途に関わらず、現場の全員が同じ痛みを抱えていたからこそ、強い推進力が生まれたのですね。このプロジェクトは、やはりUさんがリーダーとして全体を引っ張っていかれたのでしょうか。

    U:
    いえ、実はあえて特定のリーダーを決めずに進めていたんです。「誰か一人のプロジェクトではなく、みんなで当事者意識を持とう」という方針だったので、比較検討するベンダーさんによって窓口の担当メンバーを分けるなど、全員が主体的に動いていました。

    ◾️ 過去の失敗を教訓に。「自社の使い勝手」を追求した製品選定

    MNTSQ 後藤:課題が明確になったところで、具体的なシステム選定はどのように進められたのでしょうか。

    U:
    まずは自分たちの業務課題を一つひとつ棚卸しして、優先順位をつけました。その上で、ネットで見つけた法務系ソフト約20社に資料請求をし、メンバーで分担しながら15社ほどの初回商談やデモを受けました。

    MNTSQ 後藤:かなり網羅的に比較されたのですね。ただ、御社は当時すでに別のAI契約レビューツールを導入されていたかと思います。なぜそこから新しくシステムを探し直すことになったのでしょうか。

    U:
    当時は契約レビューの効率化を目指してあるサービスを入れていたのですが、当社の審査基準に合わせた整備ができていなかったため、一般的な指摘しか出てこず、結局「過去の先輩方のレビューを遡って見た方がよほど参考になる」という状態になり、実務で使われなくなってしまいました。ツールの優劣ではなく、「当社の運用に、そのツールの使い方が噛み合わなかった」。これが一番の教訓でした。

    MNTSQ 後藤:単に機能が良いかではなく、「自社の運用に本当に馴染むか」が新たな選定軸になったわけですね。最終的には他社製品とMNTSQの一騎打ちになったそうですが、MNTSQを選んだ決め手は何だったのですか。

    U:
    上司からは「既存ツールと同じ系統で揃えた方が説明が綺麗では」と突っ込まれました。しかし最終的には、トライアルで触った際の直感的な操作性や、当社に沿ったシステム連携ができるかという使い勝手の面を重視して、MNTSQに決め、上司を説得しました。

    ◾️ 20年分のバラバラなデータをどう移すか?1月の本番稼働を見据えた緻密な工程

    MNTSQ 後藤:20年分ものデータ移行となると、形式の古いファイルや出所の分からないデータも多く、一筋縄ではいかなかったのではないでしょうか。具体的にはどのようなご苦労がありましたか?

    U:
    おっしゃる通りで、Accessの台帳データだけでも約1万件あり、なかにはいつ誰が登録したのか分からない古いものも多く混ざっていました。また、契約書のデータ自体も「DocuWorks」という特殊なファイル形式で保存されているものが数千件あり、それらをすべてPDFに一括変換して取り込む必要があったんです。

    Excelで元データ自体は書き出せたものの、これまでのAccessとはデータの持ち方の概念が異なる部分もあったため、重要なデータに絞って数百件は自分たちの手作業で細かくチェックしていきました。

    MNTSQ 後藤:過去のバラバラなデータを整理し、捨てずに移しきる大変な作業でしたね。その甲斐あって、移行作業は非常にスピーディーに進んだ印象ですが、全体のスケジュールはどのような流れだったのでしょうか。

    U:
    8月1日にキックオフして、12月末にはほぼ全ての移行作業が完了しました。そして明けた1月から本格スタート、という流れです。データの移行時に一部レコードのエラーなどは出たものの、プロジェクト全体が立ち往生して切り戻すようなトラブルは一切ありませんでした。12月をまるごと余裕のある最終調整期間に充てられたので、新年の本番稼働に向けてしっかりと万全な準備を整えることができました。

    ◾️ 500アカウントへの想定外にスムーズな浸透。検索性の向上と自動通知がもたらした成果

    MNTSQ 後藤:1月に本格運用が始まって、具体的にどのような効果を実感されていますか?

    U:
    一番は「検索の圧倒的な利便性」ですね。これまではファイルサーバーで日付や相手先名でしか探せませんでしたが、今はキーワードを入れるだけで契約書の中身(全文)まで一瞬で見られます。条項だけでなく、細かい表現や言い回しでもヒットするので、過去の類似契約が格段に探しやすくなりました。

    K:
    案件管理の面でも、1つの案件に関する過去から現在までのやり取りの履歴を、詳細画面で一覧スクロールして追えるのが本当に便利です。これまでは1件ごとにバラバラのPDFを開いて確認していたので、私たちだけでなく事業部側もかなり遡りやすくなったはずです。

    MNTSQ 後藤:探す手間もバラバラのPDFを開く手間もなくなったと。事業部側(約500アカウント)のやり方が変わることへの抵抗やハレーションはなかったのでしょうか?

    U:
    もっと反発があるかと思っていましたが、想定外にスムーズでした。社内掲示板で告知して説明会を開いた際も否定的な声は一切なく、むしろ「こういうときはどうすればいいですか?」といった、利用を前提とした前向きな質問ばかりでした。

    A:
    今では「ちょっとまだログインしたことないんだけど」と事業部から相談が来るくらいで、存在をきちんと認知し、おおむね抵抗なく使ってもらえています。

    MNTSQ 後藤:業務プロセスのなかで、特に変化を感じた点はいかがでしょうか。

    A:
    個人的には、四半期に一度行っていた「契約期限の通知業務」が一番楽になりました。

    U:
    法務部では審査に関わった契約の期限管理を行っているのですが、以前はAccessから対象データを出力し、データの登録ミスがないか全員で手分けして目視点検した上で、部署ごとにExcelを切り分けてメールで送っていました。1回で数百件あるため大変な工数だったんです。

    A:
    その各部署への通知メール作成だけで、私自身が毎回2時間ほど費やしていました。送り先には経営層や役員も多く、「宛先を間違えて送ってしまった」では済まされない。その心理的プレッシャーが大きくて他のメンバーに任せられず、自分でやっていたんです。それが今や、通知先の選定も含めて半分ほどが自動化され、精神的な負担からも解放されました。

    MNTSQ 後藤:責任ある立場だからこそ手放せなかった重い作業が、仕組みで解消されたのですね。全体として、どれほどの時間削減につながりましたか?

    U:
    導入前にみんなで時間を測って算出したのですが、契約の期限管理だけで「年間延べ約200時間」を費やしていました。それがMNTSQの導入で、約1/3になりました。契約データの入力作業等も含めると、契約管理だけで、年間200時間以上の定型業務の削減を実現できると見込んでいます。案件管理でもメールのPDF化などの手作業がなくなり、1回あたり30分から1時間かかることもあったナレッジ検索の時間も大幅に短縮。こうした周辺業務にかかる時間は、体感で半分近くになっています。

    ◾️ 周辺業務を徹底的に効率化。MNTSQを武器に進める「事業に寄り添う法務」

    MNTSQ 後藤:これほど大きな時間を取り戻したわけですが、今後はこのリソースをどう活用していきたいか、これからの展望をお聞かせください。

    U:
    やはり法務の本業である「契約書の中身を精査するレビュー」にフォーカスし、スピードと質をより高めていきたいです。また、これまで手が回っていなかった社内向けの法令レク(説明会)などにも時間を割いていきたいと考えています。

    MNTSQの導入で新たに増えた仕事はほとんどなく、無駄な作業だけを徹底的に減らせた、というのが正直な実感です。事業部向けには、浸透を優先して必要最低限の機能に絞って案内してきましたが、これからは「実はこんな便利な機能もある」という情報を発信し、現場からの意見をもらえる機会もつくっていきたいですね。

    A:
    まずは現状の運用を安定的に回していくことが目下の課題です。その上で、部員たちには、これまで以上に実際の担当部署と密にコミュニケーションをとり、事業の背景や中身を深く知りながら、契約のレベルをどんどん上げていってほしいですね。

    今後登場するAIチャットボットやAIアシスタントなどの新機能も含め、MNTSQが私たちの業務をさらに高度化させてくれることを大いに期待しています。

    MNTSQ 後藤:石原産業株式会社の皆様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

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