専門性と効率性の両立:日揮グループ法務部が選んだデジタル変革への道筋

専門性と効率性の両立:日揮グループ法務部が選んだデジタル変革への道筋

日揮コーポレートソリューションズ株式会社 日揮コーポレートソリューションズ株式会社

業種 建設・資材

利用プラン 契約管理|案件管理|AI契約レビュー機能

会社規模 〜10,000名

導入の背景

  • 案件の受付方法や管理方法がバラバラで、ナレッジが蓄積しづらい状態だった
  • 各社に分散していた法務機能の集約に伴い、ナレッジ管理の統合が必要に

導入の効果

  • 横断的な検索機能により、過去の事例を容易に参照可能に
  • AI契約レビュー(AIを活用して契約書を自動でチェック・分析)のナレッジ推奨機能により、過去案件の活用がさらに効率的に

日揮コーポレートソリューションズ株式会社は、日揮ホールディングスの下、海外で大型プロジェクトを担う日揮グローバルと、国内事業を展開する日揮株式会社にスタッフ機能を提供する組織として2023年に設立されました。それまで各社に分散していた法務機能を同社に集約し、年間約8500億円の売上、約8,000人規模の従業員を持つグループの法務業務を支えています。日揮グループはEPC(設計・調達・工事を一括で請負う事業)を主力事業とする一方で、これまで培ってきた技術を起点に、多様化する顧客ニーズに応え、新たな価値提供を実現するための新規事業にも積極的に取り組まれています。
同社の法務部では、分散していた法務業務の受付方法や案件管理を標準化するためにMNTSQ CLMを導入いただきました。また、追加でAI契約レビュー機能も導入いただき、蓄積したナレッジを活用したレビュー業務のさらなる効率化・平準化を推進されています。

今回は、導入前の課題や導入後の変化、AI契約レビューを実際にご利用いただいた所感について、法務部の皆様にお話を伺いました。

<参加者>

法務部 部長 末藤 桂子様
法務部 業務改革推進・管理チームマネージャー 近藤 あやの様
法務部 法務第1チーム 伊與部(いよべ) 純様
法務部 法務第2チーム Baasan Purevdorj(プレブドルジ バーサン)様
法務部 法務第1チーム 佐伯 貴生様

※以下、敬称略
※2025年3月時点の役職です

目次

    グループ各社に法務機能が分散し、ナレッジ管理方法が統一されていなかった

    まずは法務部門の組織構成について教えていただけますか?

    末藤:
    日揮ホールディングス株式会社は、2019年にグループの経営体制を持株会社体制へと移行し、旧日揮株式会社を日揮ホールディングス(持株会社)、日揮グローバル株式会社(海外EPC(設計・調達・建設)事業会社)、日揮株式会社(国内EPC事業会社)の3社へと再編しました。再編後の2023年に、コーポレート機能業務の一部を集約し、その効率化、高度専門化を目的とする新会社日揮コーポレートソリューションズが設立されました。各社に分散していた法務機能が集約され、そのタイミングでMNTSQを導入しました。
    日揮コーポレートソリューションズの法務部は、国内で45名、海外も含めると60名ほど在籍しています。契約レビューをはじめとする法務業務全般を行うチーム、プラント建設関連の付保・求償等を行う保険チーム、契約の発注を管理するチームなど、いくつか役割が分かれており、MNTSQをメインで利用しているのは契約をレビューするチームで、更に4つのチームに分かれて業務を担当しています。

    MNTSQ導入前はどのような課題を抱えていましたか?

    伊與部:
    一言で言えば「バラバラ」の状態でした。法務機能が各社に分散していた頃は、案件受付の方法も統一されておらず、「部門長にメールを送り、担当者をアサインしてもらう」という流れでは、部門長も「何の案件なのか」「どのような論点があるのか」等をすぐに把握するのが難しく担当者のアサインに時間を要する状態でした。また、案件に関するナレッジも個人のローカル端末や部門の共有フォルダなどバラバラな場所に保存され、横断的に検索することも困難でした。

    末藤:
    特に、主力事業であるEPCの案件は専門性が高く、長期にわたるプロジェクトを同じ担当者が対応することが多いため、個人に蓄積されるノウハウをどうチームに共有し、知見を平準化していけるかが重要でした。

    ボトムアップでのトライアル×組織再編の追い風が導入を後押し

    MNTSQ CLMの導入に至った経緯を教えてください。

    伊與部:
    そのような課題を解決できないか個人で色々調べるうちにCLMに興味を持ち、様々な方面で情報収集を始めました。各ツールベンダーのセミナーに参加したり、他社の契約レビューシステムをトライアルで数人だけで導入してみたりと、共感してくれる有志と活動していましたが、業務プロセス全体を変えるのは現場のメンバーだけが動いているだけでは限界があり、組織として取り組む必要があると定期的に上司にも掛け合っていました。
    一方で、ちょうど会社の組織再編が実施され、集約された法務機能を支えるシステムが必要だという機運が社内で高まっていました。現場メンバーからのボトムアップの動きと、組織再編をきっかけとしたシステム導入検討というトップダウンの動きが合致したタイミングで、MNTSQの導入をスムーズに進めることができました。

    近藤:
    システム選定で最も重視したのは、既存の案件相談の方法を変えなくてもよい点でした。事業部から来るメールベースでの相談受付フローをそのまま維持しながら、案件ごとにMNTSQから発行されるメールアドレスをCCに入れるだけで、自動的にやりとりをMNTSQに取り込める仕組みは、事業部門に新たな負担をかけずに導入できる大きなメリットでした。

    データの集約と検索性向上がもたらす教育促進と業務効率化

    導入後、どのような効果を実感していますか?

    バーサン:
    導入前は、過去案件の情報等を探すのに部門の共有フォルダを階層ごとに辿るか、キーワード検索で探すことが多かったと思います。また、部門の共有フォルダに案件の情報、ノウハウ等を入れる・入れないの判断も個人に委ねられ統一されていませんでした。MNTSQの導入後はメールのCCに専用アドレスを入れるだけで自動的に案件の情報が登録されるので、検索性が向上したと考えます。

    佐伯:
    私は2024年5月に中途入社したのですが、入社後はMNTSQにとても助けられています。以前勤めていた会社ではこのようなシステムがなかったので、転職してきた者が「どういう前例があるのか」「似た案件ではどう対応したのか」を確認するのが大変でした。MNTSQでは過去の事例を簡単に探せるので、非常に効率的だと感じています。こういったナレッジを自分ですぐに確認できるので、新入社員の教育にも役立っていると思いますね。

    近藤:
    契約書の言い回しを検討する際に、過去の事例をすぐに参照できるのも大きなメリットです。以前は、他の職員の担当案件が検索しにくい場合が多かったのですが、今はどの案件にもスピーディにアクセスできるようになりました。

    AI契約レビュー機能の効果と期待

    AI契約レビュー機能についてはいかがでしょうか?

    近藤:
    MNTSQの導入でデータベースの一元化と集約はできましたが、データを引き出すには能動的に検索する必要がありました。ベテランなら「こんなデータがあるはず」と検索できますが、新入社員や中途入社者はどんなデータがあるか想像できません。AI契約レビュー機能は自動的にナレッジを推奨してくれるので、全く当てがなくても当社のナレッジを活用できる点が素晴らしいと感じています。

    以前、別の契約レビューシステムをトライアルされていたとのことですが、そこから本採用にならなかったのはどのような理由からでしょうか。

    伊與部:
    別の契約レビューシステムをトライアル導入していたのは4~5年前で、今と比べるとまだリーガルテックが技術的に成熟していない時期だったかと思うのですが、当時利用したときは、雛形と⽐較して「この契約書にはこの内容が⼊ってます」「この項目が⼊ってません」とYes/No形式で判定されるものでした。

    また、提供される雛形が当社のニーズに必ずしも適合せず、活用できる場面が限られていました。

    今回導入いただいたMNTSQは、当時トライアルで感じられた懸念点は払拭されているでしょうか。

    バーサン:
    払拭されていると思います。MNTSQは用意された既存の雛形ではなく、自社の雛形を設定することができ、自社雛形との比較ができます。それによって、出てくる結果の良し悪しを判断しやすくなりました。EPC事業で使う雛形を整備しつつ活用しています。

    御社は新規事業も積極的に推進されていますよね。主力のEPC事業に比べるとデータベースはまだ充実していない場合もあると思うのですが、ご活用いただけているでしょうか。

    伊與部:
    活用できていると思います。多くの新規事業は、何も決まっていない、本当に曖昧な状態からスタートします。これは物の貸し借りなのか、システムの許諾なのか、それとも売買なのかから、自分で解釈して言語化し契約書に落とし込んでいかなければいけません。
    そこで、その分野に精通していないメンバーでも、横断的に契約類型から探してきて、どのような要素があればいいのかあたりをつけて、「この区切り⽅をすると今度はこのようなデメリット出てくるからこちらの区切りの⽅がいいよね」というふうに、考慮するべきポイントを素早く⾒つけ業務を進められます。

    佐伯:
    私もとても活用しています。強いて言えば、推奨されるナレッジの精度や、なぜそのナレッジを推奨してきたのかや、このような論点があるといった情報も出てくるとより使いやすくなると思います。

    法務部として掲げるパーパス「Trailblazers」を目指して

    直近の展望はありますか。

    末藤:
    当社はEPC案件と新規事業の両方を展開していますが、それぞれに特性があります。両方の知見を持った人材を育成するとともに、システムを活用して専門性の底上げと知見共有の両方を進めていきたいと考えています。

    最後に、今後の法務部のビジョンについてお聞かせください。

    末藤:
    私たち法務部は「Trailblazers ~Enhancing and safeguarding JGC’s future through leadership and expertise~」というパーパスを掲げ、「リーダーシップと専門性を通して、会社の未来を拡大し護っていく」ことを目指しています。このビジョンを実現するため、専門性の向上と知見の共有を両立させていきたいと考えています。

    会社としてパーパスを定めている企業は多いと思うのですが、法務部として掲げられているのはユニークですね。

    伊與部:
    法務機能が集約されるタイミングで部⾨全員で集まって「⾃分たちの存在意義とはなにか」を議論し、その後も時間をかけて議論し言語化しました。

    末藤:
    業務をただ遂行する集団になるのではなく、より専⾨的で高い価値を提供していける、付加価値を持った法務専門チームになっていきたいという思いがあります。
    法務部としてのパーパスを大事にしつつ、変化し続けるビジネス環境に対応しながら、日揮グループ全体の成長をサポートしていきたいですね。

    日揮コーポレートソリューションズ株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

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