新しい視点が導いたシステムアップデート──法務プレゼンス向上への挑戦
今回のご検討のきっかけについて教えてください。
森田:
私は入社以来株主総会や取締役会の対応に長く携わってきました。現在は法務部に異動して2年目になりますが、比較的最近契約確認業務に携わるようになった分、従来のシステムに対する“使いづらさ”を強く感じていました。通知機能の設定漏れによって重要な情報が届かなかったり、コメントが読みづらかったりと、日々の業務の中で小さなストレスが積み重なっていたのです。

京田:
私は入社後ずっと法務を担当していますが、このプロジェクトを始めた時はまだ入社して1年目で、会社内の運用・手続きがわかってきた段階でした。
我々は法務5人でおよそ月100件程度の契約確認を行なっていますが、それらが全体の業務に占める割合が大きく、契約確認という業務だけでなく、他業務にもリソースを割いて、もっと法務のプレゼンスを上げたいと常に感じていました。

CLMの本質は「AIレビュー」ではなく、「業務フローの効率化」
MNTSQを選定された背景を教えてください。
森田:
AIによる契約書の自動レビューサービスも検討しましたが、一次的なチェックのみが効率化されても、業務全体の効率化にはつながらないと感じていました。加えて、従来使用していた契約確認システムは文書管理システムをカスタマイズして利用していたため、契約業務に最適化されておらず、業務の効率化には限界がありました。そのため、契約業務のプロセス全体を一気通貫で効率化できる法務向けの専用サービスを探していました。
京田:
実際にAI契約レビューのサービスを小規模にトライアルした時期もありましたが、当時は、まだ人に代わる審査品質ではないため、法務担当者の負荷軽減の効果を見出せず、あまり活用できないという実感がありました。
導入の決め手は「真摯な対応」と「セキュリティ基準の高さ」
森田:
当社は金融関連のグループ会社を有していることもあり、セキュリティ審査が特に厳格です。
MNTSQはセキュリティ基準を満たしていただけでなく、営業担当の方が当社の課題に親身に耳を傾け、無理と思われた要望にも真摯に対応してくださったことが、導入の大きな決め手となりました。
京田:
他は契約書管理を中心としたサービスが多いなか、MNTSQでは契約締結までのやりとりもナレッジとして蓄積でき、データが一元化できる点が魅力的でした。
過去のナレッジを活用するためのデータ移行においても、担当のコンサルタントが的確に対応してくれる点もポイントだと思っていました。

「UIの直感性」と「業務量の見える化」が、事業部の変化を後押し
MNTSQの導入効果について教えてください。
森田:
法務に異動したばかりで契約レビューの経験が浅かった私にとって、MNTSQの導入は業務の足掛かりをつかむ大きな助けとなり、安心して業務を進められるようになりました。
ダッシュボードでは自身の業務量をすぐ把握できるほか、審査ステータスも細かく設定できるため、各案件の進捗状況が明確に可視化されるようになりました。
また、過去の契約書に対するコメントも移行できたことで、ナレッジを蓄積・活用するための第一歩を踏み出せたと感じています。
京田:
基本的な運用フローの型は作られている上で、フォーム設定などは個社ごとに柔軟に変更できる点は魅力的でした。担当コンサルタントの方からお伺いした一般的な他社事例を参考にしながら、柔軟に当社の運用に合わせたカスタマイズをしていけることがありがたいと感じています。
森田:
事業部門への展開にあたっては、実際にツールに慣れてもらえるか不安もありましたが、意外にもスムーズに習熟してくれ、問い合わせも多くはありませんでした。アンケートを実施したところ、直感的に操作できるUIが高く評価され、概ね好意的な反応を得ることができました。
また、契約の種類ごとに最適化した契約確認の申請フォームを作成したことで、必要な情報の抜け漏れを防止できるようになりました。加えて、法務と依頼者の間で発生していたコメントのやり取りも大幅に削減され、業務効率の向上を実感しています。
ナレッジを資産に──8年分の過去データも移行・活用
森田:
旧システムに蓄積されていた8年分の契約データおよびコメントについては、工夫を重ねながらMNTSQへの移行を実現しました。またメールシステムから通知データを抽出し、CSV形式で整理・取り込みを行うなど、IT部門と連携しながら丁寧なデータ移行を進めることができました。
コメントが見づらかった旧システムと比べ、現在は視認性の高い形でナレッジを蓄積・活用できており、移行して本当に良かったと感じています。特に、これまで個人単位で属人化していた閲覧権限をユーザーグループ単位に変更できたことは、社内での情報共有の観点から見ても非常に大きな進歩でした。

業務標準化が進んだ先に、AI活用の可能性が拓ける
AI活用について検討されていることはありますか。
京田:
当社では、グループ会社にAIを活用したSaaSサービス企業もありますし、他社に負けないように業務でのAI活用も進めていこうという意識があります。
MNTSQにより業務の効率化は進みましたが、単純作業については、ゆくゆくは業務自体をなくせるところまで進めていきたいと思います。その鍵はAIだと考えています。
やはりAIを活用するには、元となるデータが必要です。当初は導入後のAI活用を意識していなかったものの、図らずも今回MNTSQへのデータ蓄積が実現したので、良かったです。

京田様、森田様、貴重なお話をありがとうございました。