事業部を巻き込み業務効率を大幅に改善。積極的なサポートを行う「“おせっかい”な法務」へ
日産化学株式会社
・相談案件の増加に対する慢性的なリソース不足
・新入メンバーへのスピーディなナレッジ共有/育成
・ナレッジ検索/活用の利便性向上による審査業務効率の向上
・審査依頼フォームの導入による事業部とのコミュニケーションの円滑化
日本初の化学肥料製造会社として1887年に創業された日産化学株式会社は、現在は化学品、機能性材料、農業化学品、ヘルスケアの4つの事業を国内外で展開しています。海外企業と英文の契約書を交わす機会が多く、さらに新規事業開発にも精力的に取り組むなど新規契約の締結も少なくないため、常に法務室の人員が不足する状況に。法務関連業務の効率化・拡大を目指し、MNTSQを導入。ナレッジベースの構築、事業部側も巻き込んで契約フローを整備し、業務効率化・脱属人化を実現しつつあります。導入を推進された経営企画部法務室の皆様に、導入前の業務の状況や課題、導入後の改善点について伺いました。
<参加者>
経営企画部 理事 法務室長 秋葉 英雄様
経営企画部 法務室 弁護士 西村 泰香様
経営企画部 法務室 関根 輝也様
経営企画部 法務室 渡辺 りこ様
※以下、敬称略
※2023年9月末時点の役職です
法務への相談案件が増加し、慢性的にリソース不足
- MNTSQ導入前の業務運用について教えてください。
秋葉:
日産化学には、現在展開している4つの事業の枠を超えて、将来の柱となる新事業・新薬創出をミッションとする企画本部がありまして、近年、ここからの相談案件が特に多くなっています。設立してまだ日が浅いスタートアップ企業と取引することも多いのですが、先方にはまだ契約関連のアセットがないことがほとんどで、ゼロから契約書を作成することもよくあります。また、当社の場合は海外企業との取引も多く、英文契約での対応を、比較的短い期間で完了させなければいけない場合も少なくありません。
このような国内外の様々な企業との契約が年々増加していくなかで、法務室のメンバーも増えてはいるものの、契約の案件数に対して常に人員が不足している状況でした。実際、限られたメンバーで対応しきれずに事業部側を待たせてしまうケースもありました。
そこで、過去の契約内容を参照し、どのような条件で結んできたのかを素早く検索できるデータベースの構築や、オンラインでの契約相談受付の体制を整備して事業部側とのやり取りをスムーズにするなどして、業務効率化を図る必要があると考えていました。
どのようなツールを導入すれば実現できるのかを調べていくうちに、MNTSQを知りました。
- 現在の法務室の体制を教えていただけますか。
秋葉:
法務室には現在9名が在籍しており、そのうち契約書のレビューを担当している者は私を含めると全部で7名になります。全員が専任ではなく、他の業務と兼任しているメンバーもいます。当社の特色として契約法務の担当の全員がキャリア採用で入社しており、その中では約11年在籍の私が最長で、他は比較的社歴が浅いメンバーで構成されています。
徐々にメンバーを増やしながらチームを拡大してきたのですが、常に人員が不足しているのでじっくり時間をかけて育成することはなかなか難しいのが現状です。一人ひとりができるだけ早く当社事業に特有の契約類型のチェックポイント等を理解し、自分の力で契約をレビューできるようになるよう、短期間で育てなければいけません。人材育成という側面でも、ツールの導入が急務だと感じていました。
メンバーからしても、マンツーマンで教え込まれる昔ながらの育成よりも、ITツールを活用して属人的にならない業務の進め方を学べたほうがモチベーションを保ちやすいかなという考えもありました。
あとは、万一、メンバーの誰かが産休や育休等で長期間不在になった場合でも、その期間中は他メンバーでしっかりカバーできる体制を整備しておくべきだと考えていました。
その点も踏まえて、契約内容や契約に関するやり取りを一元管理できて、契約業務に特化した検索機能を備えたMNTSQは最適でした。長島・大野・常松法律事務所のひな形が使える点もメリットを感じました。
実際にMNTSQについてお話を伺うなかで、営業担当の方の丁寧な対応に接して、信頼できると思ったのも導入を後押しする要素になりましたね。
事業部からの依頼フォームの活用で業務効率が改善
- MNTSQを導入されて良かったと感じるポイントはどこでしょうか。
西村:
1つ目は検索性が格段に上がったことです。MNTSQに過去の契約書などを取り込み、データベースを構築したうえで、様々な要件で検索できる環境を整えることができました。これまでは、メンバー各自が、共有サーバー上に事業部や案件ごとにフォルダを作って格納しており、権限を持つメンバーは対象ファイルを探せる状況にありましたが、どのフォルダに格納されているか分かりにくいという課題がありました。またBOXの導入によって以前よりファイルの検索性は改善されましたが、契約特有の検索条件を指定することは難しいと感じることがありました。この点、MNTSQはフォルダ構成に依存せず、契約に特化した高度な検索機能があるため、今まで以上に調べやすくなりました。ドキュメント単位だけでなく、条項ごとに検索できる機能も実用的で使いやすいです。
2つ目は法務室の中でナレッジ共有ができるようになったことです。入社当時は当社の判断方針が残っておらず、周りに確認するなど手探りでした。MNTSQは契約書だけでなく、その前後のやり取りの履歴も見ることができるので、契約の背景も残しやすくなりました。また、有用なドキュメントや条項などをメンバーと共有できる「共有メモ」や「推奨登録」も、ナレッジ共有を促進する良い機能だと思います。
- その他の機能で活用されているものは?
西村:
事業部から法務室に依頼をするときのフォーム機能です。事業部からの法務相談・契約審査の依頼は、原則MNTSQのフォームを経由して送信してもらうようにしています。メールで依頼を受けていた時は、必要な情報が不足していたり、CCに入れている方に統一性がなかったり、追加のやりとりが多く発生していました。MNTSQの依頼フォームは、自社でアレンジすることができるので、当社は契約審査を進めるにあたって、契約類型ごとに最初に聞き取るべきヒアリング項目を埋め込んだ依頼フォームを構築しました。これにより、依頼の段階である程度状況を理解できるので、事業部側とのコミュニケーションがかなりスムーズになったと実感しています。
事業部側にとっても、これから行おうとする取引が契約書にどのように落とし込まれるのか、意図が反映されているかなどを一度立ち止まって確認するため、一定のフローを踏むことは良いと考えています。“契約はすべて法務に丸投げ”というのは起こってしまいがちな事だと思うのですが、だからこそ各事業部の担当者には当事者意識を持って契約に携わってもらいたいという思いがあり、そのような状態に近づいていると感じています。
・法務室以外でもMNTSQの利用が浸透しているようですが、事業部で使ってもらうためのコツはなんでしょうか。
秋葉:
職場の上長に対して管理する側のメリットを明確に伝えることが大事です。メールベースでは、日々多数の契約案件の進捗報告が上司にCCで上がってくる中で、上司がメールを見落としてしまう、あるいはCCに上司を入れ忘れてそのまま進行してしまうこともあると思います。上司からすると、自分の知らないところでいつの間にか契約交渉が進展している状況は好ましくありません。MNTSQであれば、そのような共有漏れが起きない、タイムリーに自分の目に入る状態になるので、ガバナンス的にもメリットが大きいという点を伝えれば、ツール利用の意義を理解してもらえます。
- 入社して半年のお二人にとって、MNTSQはいかがでしょうか。
関根:
契約書のレビューはもちろんのこと、法の解釈や運用について相談を受けた際にも、やり取りを蓄積できる点はメリットに感じています。契約書はWordなどファイルの形で残りますが、法務相談はメールのみで完結することも多いため、担当者によって残っている情報に差が出やすいことが懸念点でした。また、お気に入り機能など細かい部分でも使いやすいと感じています。ただ、まだ活用しきれているとは言えないので、色々と試していきたいですね。
渡辺:
契約法務の担当は初めてで、案件管理に苦労していたのですが、MNTSQを導入してから進捗状況がすぐに確認できるので助かっています。事業部とのやり取りが一覧でわかるのはすごく便利です。あとは、メールに添付されたファイルを見つけたいときも、その都度メールを辿って開封しなくともファイルが蓄積されているのですごく便利ですね。まだ先輩に教えていただいている期間ですが、わからないことが出てきても自力で解決できるケースがよくあります。
“おせっかい”な法務室を目指してさらなる活用を
- 最後に、今後の展望を教えていただけますか。
秋葉:
当社の中期経営計画の一環で、2019年に策定した法務室の計画では、法務支援ツールの導入を目標の1つに掲げ、これを達成できました。現在は、同計画に基づいてMNTSQの活用に取り組んでいます。
計画では、できるだけ現場にとって身近な存在でありたいという思いを込めて、「経営にも現場にも寄り添うおせっかいな法務」というスローガンを掲げています。待ちの姿勢ではなく、私たちの方から事業部に出向いて、積極的に相談に乗っていける法務を目指しています。
実際、法務出前相談という取り組みを始めていまして、研究所や工場で実施し、その後関係会社にも広げています。おかげで相談件数も増えてきているのですが、それでキャパが不足してしまうとおせっかいができなくなってしまう。だからこそ、効率化も並行して強化していかなければと考えています。
「必要であればいつでもサポートする法務ですよ」と社内で印象付けられるよう今後も前進していきたいですね。
日産化学株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
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