「単なるシステムの⼊れ替えではない」。法務部向け機能のアップデートだけでなく、経営上の課題を解決し、事業部⾨は⾃らの契約の管理ができる環境へ

「単なるシステムの⼊れ替えではない」。法務部向け機能のアップデートだけでなく、経営上の課題を解決し、事業部⾨は⾃らの契約の管理ができる環境へ

パナソニックグループ パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社

導入の背景

・ホールディングス体制への移行を機に、契約業務を一気通貫で管理できる体制へ

・広範囲での事業を行っており、過去の貴重なナレッジが点在。経営上の課題にもなっていた

導入の効果
・大規模組織で導入することにより、法務部門に関するナレッジを横断的に溜められた

・ナレッジの共有が促進されることにより、業務効率が向上した

パナソニックグループは、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向け、「地球環境問題の解決」と「お客様一人ひとりの生涯にわたる健康・安全・快適」に役立つことを目指しています。2022年4月にはホールディングス体制へ移行し、パナソニックホールディングス株式会社と、パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社(以下、PEX)の2社が、7つの事業法⼈に対して本社機能を提供する形となりました。

PEXは、幅広い分野における高度な専門人材が集う会社として設立され、法務、人事、総務、品質管理、ロジスティクスなどのスタッフが所属します。その知見や経験に加え、各専門分野間の連携を活かしてソリューションを提供する中で、約88,000人を抱えるパナソニックグループ全体でMNTSQを導入いただき、グループの契約上の課題や法務部門における契約審査の効率化を図られました。

今回は、グループ全体でMNTSQを導入する際に工夫されたことや導入後の効果、今後の展望について、PEX法務部のお二人にお話を伺いました。

<参加者>
法務部 法務2課 2係 係長 高野様
法務部門 法務企画課 主幹 浅井様
※以下、敬称略
※2024年8月時点での役職です


グループ全体で88,000人という大規模組織で、ホールディングス体制への移行を機にMNTSQを導入

  • パナソニックグループ様は、2022年にホールディングス体制になりました。その体制について教えていただけますか。

浅井:
ホールディングス体制へ移行した際に、本社機能を「パナソニックホールディングス株式会社」と、我々が所属する「パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社(以下、PEX)」が2社⼀体で担い、7つの事業法⼈に対して提供する形となりました。MNTSQはパナソニックグループ全体で導⼊しました。

  • パナソニックグループ様は、MNTSQをお使いいただくお客さまの中では、最大規模の人数となります。法務部の組織の規模や特徴についてお教えいただけますか?

浅井:
パナソニックグループの規模としては、国内だけで約88,000⼈の社員が在籍しています。法務を担当する社員は、各事業会社ごとの法務部門に10~60⼈程度おり、PEXを含むグループ全体では国内で約390⼈です。

⾼野:
法務部がグループ全体に存在する中で、PEXはそのオペレーションを高度化し、研ぎ澄ませて、グループ全社に広めていくミッションを担っています。今回のMNTSQの導⼊についても我々が主導しました。

旧システムからMNTSQへのリプレースで、過去のナレッジ活用へ

  • MNTSQの導入を検討することになった背景や、それまで法務部内にあった課題についてお伺いできればと思います。

浅井:
ホールディングス体制になる15年ほど前から、グループ全体で契約相談を受け付けるオンプレミスのシステムを使っていました。しかし、そのシステムが⽼朽化し、保守の期限切れが近づいており、代替となるシステムを検討していました。

これまで使っていたその契約相談のシステムは、法務相談を受け付けるだけで、その後のやりとりは全てメールで行っていました。そのため、過去のナレッジが効率的に溜まっていかないという課題もありました。

また、契約書の管理なども、事業会社ごとになっており、⼀元管理できていませんでした。ホールディングス体制への移行を機に、法務相談から契約書管理まで、一気通貫で対応できるような新しいシステムに変えたいと考えていたところでした。

⾼野:
既存システムのリプレースのタイミングだったことに加えて、グループの重要な経営上の課題として、契約に関する課題が取り上げられていた点があります。経営にとって重要な契約をする際、リスクの特定や把握ができないまま取引をしてしまい、大きな損失を被ったり、契約書に定められた権利を正しく踏まえた解決ができなかったりしないよう、環境を整備する必要がありました。

あとは、契約審査業務の効率化をしていきたいというところもありました。さらに当グループの場合、⾮常に広範囲なビジネスをしているため、これまでは過去の貴重なナレッジが各所に点在していました。それを集約し、有効活⽤できるような方法がないか、も検討していました。

ちょうどリプレースをする機会でもありましたし、上記のようないくつかの要件を満たす別のシステムを検討し始めたところで、MNTSQがぴったりはまった、というのが導入の背景です。

大規模企業での導入と過去のデータ移行への対応で「MNTSQ一択」に

  • MNTSQを選んでいただいた経緯や理由についてお聞かせください。

浅井:
新しいシステムへのリプレースに伴い、いくつかのベンダー候補を調査するとともに、オンプレミスでの作り直しも含めた選択肢で考えていました。その際、社内から「こういうのもあるよ」と紹介してもらって、MNTSQもその候補の中に入れました。

検討を進めていくと、当グループの場合は規模が大きいため、他のベンダーさんでは対応が難しい、という判断がありました。そして、過去データの移行というハードルもありました。そんな中、MNTSQは大規模導入に対応が可能とお話いただきまして、さらに過去データに関しても、社内では諦める温度感だったのですが、MNTSQで移行をサポートしていただけることになりました。そのほかにも、AIを使った検索ができる点など、将来的に契約業務の効率化・⾼度化を狙っていく流れが期待できるのではないか、と考えました。

⾼野:
契約審査に際して、過去のシステムでは受付以降はデータが分断されてしまっていました。MNTSQは、法務相談の受付から、最後の締結まで⾒届けられる。契約の審査から管理まで一気通貫でできるところは、選定させていただいた大きなポイントだったのかなと思っています。

浅井:
過去のシステムを止めて、新しくMNTSQを導入するまで1ヶ⽉ほどしか時間がなかったのですが、⼤きな課題もなくスムーズに⽴ち上げていただきました。

⾼野:
また、NO&T(長島・大野・常松法律事務所)さんのバックアップを受けている点も大きかったです。
当グループでも⾮常にお世話になっておりまして、やはり安⼼感がありましたね。これらをトータルで見て、「MNTSQ一択」でした。

「法務は一つのチーム」。トップダウンで導入を通達し、現場から活用を広げていくアプローチ

  • グループ全体への導入に際しては、どのように進められたのでしょうか?

浅井:
ホールディングスやPEXだけではなく、各事業会社の担当者からもタスクフォース的な形でメンバーを集め、そこでMNTSQの導入を決定しました。 「契約管理」は、法務部と経理部の両方が関わってくるため、機能の導入に際してはトップダウンでやらないと進みません。法務責任者と経理責任者から導入に関する通達を出し、その後は実際に法務の現場で契約業務を行っている方たちから導入を広げていく、というアプローチをしました。

  • 大規模のグループ全体でそのようなアプローチが取れるのは、すごいことだと思います。

⾼野:
導入の規模が⼤きいからこそ、きちんと使ってもらえなかったら意味がありません。これからみんなで使っていくものなので、大変ではありましたがしっかり取り組みました。

浅井:
「法務は⼀つのチーム」「事業会社体制になっても連携して一丸になって取り組む」という理念にも合致していましたし、各社の法務責任者が集まる場でも議論を重ね、最終的に合意できました。

  • そのほかにはどういった工夫をされたのでしょうか?

⾼野:
グループ全体へのMNTSQの導入に際しては、「単なるシステムの⼊れ替えではない」という話をしてきました。経営上の課題を解決し、法務部としての機能もアップデートしていく。事業部⾨は⾃らの契約の管理ができる。そういうポイントを法務部にも事業部⾨にも丁寧に説明すると、それほど大きな課題もなく導入できたと感じています。

これは、事業部門の方にとってもメリットがあるので、ルールを受け入れてもらえたと思うんです。案件管理機能であれば、「もうメールから探さなくてもいい」「過去の履歴を瞬時に⾒られる」というメリットがあります。上司に説明する際にも、上司を依頼者として追加すればMNTSQ上で契約に関する情報が⾒られるようになりますし、引き継ぎの際も同様です。法務部側でも同じことが⾔えて、MNTSQを使うメリットを理解してもらえているのだと思います。

  • 説明会などはされたのでしょうか。

高野:
我々の説明会の他に、事業会社それぞれのオペレーションに沿った説明会を実施しています。実際のオペレーションについてはそれぞれの事業会社ごとにやっていますので、共通のルールを作った上で、そこに当てはまらないものは個別のルールをそれぞれの事業会社や事業部に託していますね。

浅井:
説明会の内容を記録して社内のポータルサイトにアップロードしたり、マニュアルやFAQを準備したりもしました。マニュアルを見て分からないところがあれば都度質問してもらっています。

⾼野:
MNTSQさんには、本当にサポートを手厚くして臨んでいただきました。導⼊から1年半経ちますが、定期的にお話しする機会もありますし、とても安⼼感を持って進められました。

MNTSQ導入でナレッジの集約を仕組み化、「この人に聞けばいい」という属人化の解消へ

  • 実際に導入されてみて、どのような効果が得られたか教えていただけますか?

⾼野:
まずは、法務部と事業部⾨共通のプラットフォームを国内の事業所に対して導入できたのが⼤きな成果だと思っています。 

法務部の観点で言えば、ナレッジの集約について仕組み化ができたのが大きかったですね。過去の案件を容易に検索できて、締結だけではなく契約締結に⾄る過程まで参照が可能になりました。案件管理で⾔うと、それぞれのフォームがカスタマイズ可能ですので、「こういう項⽬を⼊れたい」という要望があったらアップデートしています。契約の審査に必要な情報について、事前に情報収集ができるのは⼤きな効果だと思っています。 

浅井:
法務部全体での横断的なナレッジの共有は、これまでやってきていませんでした。それをMNTSQ導入と同時に、別の事業の契約も閲覧できるように整備し、属人化が解消されたことも⼤きな成果だと考えています。

⾼野:
法務部には多くの人が所属していますから、⾃分が知りたかったり⾒つけたかったりする契約について、誰が担当しているか分からないといったこともありました。それが、MNTSQのデータベースを検索すれば直ちにヒットします。属人化の解消が業務時間の短縮にもつながっていると思います。

また、グループが広いため、事業会社ごとに似た新規事業を立ち上げようとするケースがあります。その際に、別の事業会社で参照できそうな類似の契約が⾒つかるかもしれないという期待もあります。

MNTSQの活用フェーズへ。ナレッジマネジメントでさらに効率的に

  • 今後どのようにMNTSQを活用していくかについて、展望をぜひ教えてください。

⾼野:
プラットフォームの導⼊フェーズは終わったと思っていますが、今度は活⽤フェーズに⼊っていくと思います。まだまだ全ての機能を使いこなせてはいないですし、使う側の個人差もありますので、効率的な検索⽅法の提案など、さらなる活用の促進にこれからも注⼒していきたいです。また、ナレッジがどんどん蓄積されていく仕組みができましたので、今後は相談を受け付けた案件の傾向分析やリスク分析も行っていきたいです。ナレッジをフル活用するために、MNTSQさんにはダッシュボード機能をはじめ、機能面のさらなるアップデートをぜひお願いします。 

浅井:
引き続き、グループ全体でMNTSQに関するアンケートを取ったり、説明会を開催したりしていますが、「この使い⽅は知らなかった」などの感想もあります。多くのナレッジが溜まってきているので、これからはどのように活用するかを考えていきたいと思っています。

  • 最後に、パナソニックグループ様の法務部の今後に向けた取り組みなどについて、お聞かせいただけますか?

浅井:
AIによる契約レビューの機能もこれからどんどん評価・導入していき、契約業務の高度化・効率化に役立てたいと思います。

⾼野: 
契約以外では、「マターマネジメント」に取り組んでいきたいと思います。まさにMNTSQの思想と当社の目指す姿がフィットすると考えているのですが、ナレッジを溜めて、共有して、それを瞬時に誰でも⾒られるようになれればと考えています。さらにそこから、生成系AIのように問い合わせをすれば、データベースを参照してすぐに回答が出せるといったところを目指したいと思っています。

パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

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