金融業界におけるデジタル変革の先駆者が、MNTSQを導入した理由
株式会社りそなホールディングス
・相談案件の増加に伴い、進捗管理の効率化が必要
・法務ナレッジの蓄積・活用による法務相談の品質向上
・メールの自動連携機能により、手順を増やさずに相談案件を一元管理
・情報が案件ごとに時系列で自動保存され、法務部内の全ての案件情報を可視化
りそな銀行や埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行、グループ会社の持ち株会社であるりそなホールディングスは、変革への挑戦を経営理念の1つに掲げ、さまざまな施策を実行してきました。変革を推進できる体制の根本にあるのは、お客さま、さらには社会が抱える課題を解決していきたいという想いです。金融業界のなかでもいち早くDX戦略に取り組みはじめ、オムニチャネル化、スマホ向けアプリ開発を実施。現在は「金融+で、未来をプラスに。」をパーパスとして、お客さまのこまりごとや社会課題を起点に、さまざまなプラスになる変革に取り組んでいます。グループとしてさらなる変革を目指すなかで、法務関連のナレッジマネジメント体制を整備するためにMNTSQを導入いただきました。
今回は、導入前の課題背景や導入後の変化について、コンプライアンス統括部の皆様にお話を伺いました。
<参加者>
コンプライアンス統括部
企業法務室長 岡田 義雄様
企業法務室 担当マネージャー 弁護士 安田 幸代様
企業法務室 担当マネージャー 弁護士 荒居 拓矢様
企業法務室 担当マネージャー 須田 隆文様
※以下、敬称略
※2024年3月時点での役職です
DX推進にあたり案件が増えていくなかで、属人的な案件管理が課題に
- 法務部の組織体制・状況について教えてください。
岡田:
コンプライアンス統括部は現在約160名体制で、そのうちの企業法務室は室長である私を含め11名、社内弁護士は5名在籍しています。各所管部門からの相談に際して、専門性を担保しつつ統一したアウトプットを出せる企業法務室であるべきという考えがあるので、社内弁護士としてさまざまな案件に携わってもらっています。もちろん弁護士だけが相談に応じるわけではありません。銀行業務を熟知したメンバーと、高度な専門性を持つ弁護士の双方が揃っていれば頼れる企業法務室になると考えています。
私たちは、グループ企業のコンプライアンスリスクの管理とリスクガバナンスを担っており、各所管部門から新商品に関する相談を受けたり、訴訟の管理を担当したりとさまざまな案件に対応しています。外部企業との新規提携や取引に関わる契約締結に関しては外部の弁護士事務所に協力を仰ぎ、契約内容の確認や論点になるポイントをすり合わせることもあります。
引き続き、外部に協力いただきながら企業法務室として社内体制も増強したいと考えています。グループ全体で一体運営を掲げているのですが、やはり1つのビジネスは同じ人が見た方がいいと思っています。例えばローンビジネスはこの担当者、信託ビジネスであればこの担当者というふうに専属担当をつけて、更に正副の2名体制であたれるのが理想です。
そのような方針を掲げつつ、まだ運用体制を整備しているところで、さまざまな課題があります。その課題解決の1つの手段としてリーガルテック導入を検討し始めました。
- どのような課題があったのか、具体的に教えていただけますか。
岡田:
以前は、案件の管理に関しては私をメールのCCに入れてもらえれば把握できていたのですが、人数や案件数が増えていくなかで私一人がメールベースですべての案件の進捗を追うのは現実的ではない状況になっていきました。
安田:
また、各部署から相談がきた際に人によって回答が違うことがたびたびありました。明確な正解がないので異なる回答があっても良いとは思うのですが、各人で大きく異なる回答をすると部署の担当者が迷ってしまうことになるなと。過去のナレッジを活用すれば回答クオリティの向上やスピード化も期待できることから、誰が何をどのように検討した結果どう回答したのかを私たちで共有できる状況にするべきだと考えました。
メール連携による案件管理の効率化が決め手に
- それらの課題解決の手段としてMNTSQを選んでいただいた経緯を教えていただけますか。
岡田:
他のリーガルテック系のツールもいくつか検討しました。基本的に契約書管理がメインのものが多いなか、案件管理やナレッジマネジメントとして使えそうなものに絞って検討しました。その中でMNTSQの一番の決め手になったのはメールとの自動連携ですね。
当初は、案件名や誰からいつどんな相談内容が送られてきたのかを手動でエクセルに入力して管理をしようとしましたが、手間がかかると浸透しないので、メール内容が全部自動で管理画面に入ってくるのは大きかったかなと思っています。やはり、運用において新たなステップを増やしていくのは、特に拡大していく組織としては避けるべきだと思います。
安田:
私自身も、入社当初から個人的にエクセルで案件管理していました。ただ、やはりエクセルに自分で入力するのは手間ですし、個人フォルダで管理していたので共有もしづらい。案件をチームで共有し今後の対応に活かせるよう、管理体制はなんとか改善したいと考えていました。
加えて、利用する方たちの意見を取り入れて使いやすいものにしたいという思いがあり、導入プロジェクトには企業法務室のメンバー全員に参加してもらい、合意をとりながら進めました。
あらかじめたたき台を作ってメンバーに共有し、意見を聞いて適宜反映していったので、特にメンバーからの反発はなく導入できたと思います。
過去情報の管理よりも、導入スピードと未来のナレッジマネジメントを重視
- 今回、MNTSQには過去の案件情報は移行せず、データ0の状態からスタートされましたよね。そのような判断をされた経緯は?
岡田:
今回のMNTSQ導入は未来への投資という側面が大きかったので、スピードを重視してデータ移行はしないと判断しました。そもそも、過去の情報は各担当者が独自の形式で保存していたので、それを取り込むとなると膨大な工数が発生します。加えて、外部のクラウドサービスを導入するということで、社内のシステム部門とやり取りして社内情報をどういうふうにつなげていくかを考えなければいけないし、予算管理部署とどの程度の予算で進めていくべきかなど、議論するべきポイントは多々あります。古い情報をどうしていくかというところの整備に時間をかけるのではなく、今後どのような管理体制を目指すべきかについて議論するほうが有益ですし、スピード感を持って進められると考えました。
- 実際、4ヶ月ほどで導入プロジェクトを完了されていて、非常にスピーディに進めていただいた印象です。MNTSQ導入によって、どのような管理体制を実現したいと考えられていましたか。
岡田:
やはり一番は案件管理の脱属人化ですね。1つのツールに案件情報が集約されるので、各個人でバラバラに管理していた状況は解消できます。
あとは、私自身が時間をかけて対応しなければいけない案件もあれば、担当者に任せられる案件もあるので、案件の状況がすぐにわかる状態を目指していました。どの部門のどの担当者から、どのような情報が来て、どのようなやり取りが行われたのかMNTSQ上で時系列で追えるので、一連の流れがわかりやすいんです。
変革を推進する所管部門の支援と牽制を担う法務部を目指す
- 運用を開始されて半年弱というところで、本格的な活用はまだこれからというところかとは思いますが、現段階での利用状況はいかがでしょうか。
岡田:
現在既に170 件ぐらいの案件が登録されています。まだ担当者によって利用レベルにばらつきがある状態ではあるので、そこを統一していければさらに速いペースで件数が増加していくと思います。既に案件が多数登録され、共有できているという点ではかなり活用できていて、導入当初の狙いは果たせている印象です。
須田:
外部弁護士とのメールでのやりとりが案件ごとに時系列で自動保存される点は、企業法務室内の横展開や各部と議論を深めていくうえで、役立っています。また、案件ごとの現在のステータスや経緯がまとまっているので、外部弁護士への情報共有がスムーズに進められます。
荒居:
私としては、他の担当者の案件が簡単に閲覧できるようになったのが良いですね。もともと他案件もフォルダを探って見るようにはしていたのですが、現在は各案件の時系列がわかるようになったので、より理解しやすくなりました。
- 最後に、今後の展望を教えていただけますか。
岡田:
冒頭でも少しお話しましたが、私の想いとしては「頼れる法務部門」を目指しています。所管部門でなにか案件を遂行する際は、まずは法務部門に相談しようと思ってもらえるようになることが大事ですし、経営陣からも企業法務室に相談したのであれば安心と思われる存在になるべきだなと。頼られる存在になるには、支援と牽制、双方をしっかり担える組織になる必要があります。各案件のリスクを特定、評価し、必要な牽制を実施したうえで前向きに案件を進めていけるのがあるべき姿です。
りそなが大事にしている変革や挑戦を後押ししながら、グループの各事業を支える基盤になりたいですね。
そこに向けて、法務部門におけるナレッジマネジメントの整備を拡大していきたいです。所管部門に対しても、法務部門がどこまで対応してくれるのかについて認知されていない面があるので、連携強化に向けた情報発信や働きかけが必要だと思っています。
株式会社りそなホールディングスの皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
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