クラウド契約とは?
そもそもクラウドとは、データやシステムを自社のパソコンではなく、インターネット経由で利用できる仕組みを指します。専用サーバーにアクセスするだけで、必要な情報をどこでも扱えることが特徴です。
この仕組みを契約業務に取り入れたのがクラウド契約で、契約書の作成から承認、署名、保管までをオンラインで扱えるため、紙を使う手続きよりも効率的に運用できます。ここでは、その特徴や電子契約との違いを整理します。
クラウド契約の特徴
クラウド契約は、契約に必要な作業を全てクラウド上で進められる仕組みです。契約書の作成から承認、署名、保管まで一連の流れをオンラインで扱えます。紙の管理が不要となり、保管スペースや郵送対応が発生しません。
加えて、複数の担当が同時に確認できるため、部門間の調整も進めやすくなります。検索性にも優れており、契約書を素早く探せる点が強みです。
電子契約との違い
電子契約は契約書をデジタル化し、電子署名を使って締結する仕組みのことです。一方、クラウド契約は契約締結だけでなく、作成から管理までの流れを包括的に扱えることが大きな違いといえます。電子契約が「締結」を中心とするのに対し、クラウド契約は「契約業務全体」の最適化を目指します。
契約書の検索や更新管理まで一体化され、業務効率を高めやすいこともクラウド契約の大きな魅力です。
クラウド契約を導入するメリット
クラウド契約は、紙中心の業務で抱えやすい手間やコストを減らし、契約全体の流れを整えやすくします。ここでは、導入後にどのような変化が生まれるのか具体的に解説します。
契約処理の自動化によるコストの最適化を図れる
紙の契約では、印刷や製本に加えて郵送の準備が必要で、担当者の工数が大きくなりがちです。クラウド契約であれば、契約書作成から承認・締結までの流れをシステム上で一元管理できるため、手作業による工程を大幅に削減できます。
郵送や保管にかかる費用も不要となり、運用コストの見直しが進みます。担当者の時間を別業務へ回せることも大きなメリットです。
離れた拠点間でも契約を同時に進められる
紙での取引は、書類の受け渡しに時間が必要で、遠隔の拠点では調整が長期化しやすい運用でした。クラウド契約を使えば、関係者が同じデータにアクセスできるため、確認や承認が同時に進みます。移動や発送に伴う待ち時間が無くなるため、契約完了までの期間を短縮できるだけでなく、業務停滞の防止も可能です。
クラウド基盤によるセキュリティの強化を図れる
紙の契約は、紛失や改ざんのリスクが常につきまといます。クラウド契約なら通信の暗号化やアクセス制御により、重要情報を安全に扱えます。改ざん防止の仕組みも備わっているため安心です。会計監査や内部監査などで必要となる契約履歴を残しやすく、コンプライアンス強化にも直結します。
紙を使わない電子契約で環境への負荷を抑えられる
契約書を大量に扱う運用では、印刷や郵送に多くの資源を使います。クラウド契約なら紙を発生させずに締結できるため、使用量を確実に減らせます。輸送のための移動や梱包作業も不要となり、業務全体で工数の削減を狙えることが大きなメリットです。
また、紙の保管場所も小規模化できるため、オフィスの運用負荷も軽くなります。環境配慮を社外に示しやすいという意味でも評価されています。
自社の契約フローに合わせて運用方法を自由に変えられる
紙の運用は、部署ごとに手順がばらつき、統一管理が難しくなる場面が多く見られました。クラウド契約では、承認ルートや作業順序を自社の流れに合わせて柔軟に設定できます。属人化しやすい作業も整理しやすく、担当が変わっても同じ進め方を維持できます。さらに、全体の流れが可視化されるため、改善点を把握しやすくなる点も強みです。
クラウド契約を導入する前に知っておくべき注意点
クラウド契約には、多くのメリットがありますが、導入前に把握しておくべき注意点も存在します。ここでは、注意点の詳細について解説します。
初期導入や社内教育にコストがかかる
クラウド契約を導入すると、自社の担当者が新しい操作を覚えるための教育が必要です。契約書を扱う人数が多い場合は指導の手間が広がり、短期的な負荷が増える傾向があります。システムの初期設定にも工数が発生するため、準備段階の負担を把握した上で進めることが重要です。
一度に全体を変えるのではなく、最も負担が重い部署から変えていくことで負担を軽減できます。
クラウド利用にともないセキュリティ対策が必須になる
クラウド契約は契約情報をクラウドで扱うため、外部からのアクセスを防ぐ仕組みが欠かせません。暗号化や権限設定を適切に行い、社内の取扱いルールも整える必要があります。クラウドでは契約情報をシステムで扱うため、権限設定やアクセス状況の定期的な点検も必要です。
不正アクセスの兆候や設定の不備を放置しない管理体制が、安全な運用につながります。
既存の契約フローを見直すため一時的に混乱が起きやすい
クラウド契約へ移行する際、これまでの紙中心の流れが変わるため、一時的な混乱が起きる可能性があります。想定していた通りに作業が進まず調整が求められることもあります。このような混乱と負担を軽減するには、段階的な導入が有効です。
契約や部署を絞り、小規模な範囲で運用を試しながら、少しずつ問題点を解決していきましょう。
ネット環境やシステム障害の影響を受けやすくなる
クラウド契約は、通信が途切れると承認や署名の操作が中断され、作業が前に進まない状況が起きやすい仕組みです。たとえば、外出先でモバイル回線が不安定な場合、契約内容の確認さえ遅れる可能性があります。特に納期が短い案件が多い場合は注意が必要です。
社内の回線品質や利用端末の管理方法を事前に見直すことで影響を抑えやすくなります。
電子契約に対応できない書類がある
一部の契約は法令で「紙の原本」や「公的機関での手続き」が必須とされています。代表例として、事業用定期借地契約や公正証書を必要とする金銭消費貸借契約などがあります。これらは公証役場での確認や署名が前提となるため、電子契約では代替できません。クラウド契約を導入しても、紙での対応が残る領域があることは押さえておきましょう。
電子契約を受け入れない取引先がある
取引先によっては、紙の押印を前提とした内部規定を維持しており、電子契約を選択できない状況が残っています。特に監査部門が電子署名の確認体制を整えていない企業では、受け入れが難しい状態が続く傾向です。事前に取引先の方針を確認し、併用可能なフローを用意しておく姿勢が求められます。
クラウド契約を選ぶ前に確認すべき必須機能
クラウド契約は便利ですが、機能の違いによって運用のしやすさが大きく変わります。ここでは、導入前にチェックすべき機能について解説します。
契約の真正性を保証する電子署名
電子署名は「本人が署名した事実」と「内容が変わっていない状態」を示す仕組みです。主な方式は、本人が自分の証明書を使う「当事者型」と、サービス事業者が立ち会う「立会人型」があります。一般的なクラウド契約では、立会人型が多く導入も難しくありません。
選ぶ際の重要なポイントは、署名の履歴が残るか、署名方法が法的基準に適合するかです。
紙の印鑑をデジタル化できる電子印鑑
電子印鑑は、日常的な社内承認に使われるデジタル印影で、紙の押印を置き換える役割です。ただの画像では悪用される恐れがあるため、押した人の情報が残るか、権限を細かく設定できるかを確認しましょう。承認ごとに記録が残るタイプを選ぶと、不正利用やトラブルを防ぎやすくなります。
承認や回覧を効率化するプロセス管理機能
プロセス管理は、契約書を誰がどの順番で承認するかを自動で流す仕組みです。担当者の不在が理由で止まることがなくなり、進捗も一覧で把握できます。製品によっては複雑な承認ルートを作れないものもあるため、部署ごとのフローを再現できるか、案件ごとに変更できるかをチェックしましょう。
契約書を安全に保管できるクラウドストレージ機能
クラウドストレージは、契約書を安全に保管し、必要なときにすぐ開けるようにする機能です。権限設定、暗号化、更新履歴の保持などが備わっているかが重要です。特に、部署単位で閲覧制限を掛けられるか、削除や上書きの操作ログが残るかは、情報漏洩を防ぐために欠かせない項目といえます。
契約内容の改ざんを防ぐタイムスタンプ
タイムスタンプは、ある時点のデータが後から更新されていないことを証明する技術です。契約書に自動で付与できる仕組みがあると作業が安定します。選定時には、発行元の時刻認証局が認定を受けているか、有効期限が十分か、再付与の方法が用意されているかを事前に確認すると安心です。
まとめ
クラウド契約は、紙の管理で発生していた確認漏れや検索の手間を抑え、拠点が分かれる組織でも同じ情報を扱える仕組みとして注目が集まっています。締結に必要な証跡をクラウドで管理できるため、更新期限の把握やリスク管理もしやすくなり、法務と事業部の連携も整えやすくなります。
ただ、クラウド契約はあくまで「締結と管理」を効率化する仕組みであり、相談受付や審査、契約管理まで含めた業務全体の最適化には、別途管理基盤の整備が必要になります。こうした契約業務全体の高度化を検討する場面で役立つのが、法務案件管理や契約管理を一元化できる「MNTSQ」です。
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