<参加者>
法務部 法務第二グループ グループリーダー 大後戸(おおせど)つばさ様
法務部 法務第三グループ 主任 今西 ユリ亜様
DX推進部 インフラサービスグループ 課長補 山田 豪士様
株式会社豊通シスコム インフラ技術本部 プラットフォーム技術部 ビジネスオートメーショングループ 成田 雅博様
MNTSQ カスタマーサクセス担当 坂井 祐一
※以下、敬称略
※2025年10月時点の役職です
DX推進部と法務部が連携してプロジェクト発足

MNTSQ坂井:
最初に、皆さまの所属部門と、今回のDX推進においてどのような役割を担われたのか教えていただけますか。
大後戸:
第二法務グループに所属しています。昨年は法務の統括グループとしてMNTSQ導入プロジェクトに携わり、法務部側の要望の取りまとめや要件定義などを担当しました。
今西:
第三法務グループに所属しています。昨年のMNTSQ導入プロジェクトにアサインされ、法務側の支援や現場展開を担当しました。
山田:
DX推進部に所属しています。全社的にDXを推進することが主な役割で、今回のMNTSQ導入をはじめとした法務部関連のDXについても、全社標準の観点から企画・連携・導入支援を進めました。
成田:
私は豊通シスコムという、豊田通商グループのシステム構築を担う会社に所属しており、今回はインフラ側の設計・構築を中心に担当しました。
MNTSQ坂井:
では、今回のDXプロジェクトを推進することになったきっかけをお話しいただけますか。

大後戸:
きっかけは2つあります。全社的にクラウドストレージサービスのBoxを導入した際に、以前まで利用していたコンセプトベースという企業内検索システムが利用できなくなり、そちらの代替となるツールが必要になりました。
今西:
一方、法務部内では、法務への依頼フローを効率化するためのワークフローを組もうという話が上がっており、内製か外部ツール導入のどちらかを検討し、そこでDX推進部から、法務部だけではなく、全社的なDX推進プロジェクトとしてやるのが良いのではないかと進言され、MNTSQを紹介されて導入を進めました。確かに、法務への依頼に関するワークフローは法務部だけでなく営業部も関連することなので、全社に関わることではあるんですよね。
山田:
当時、DX推進部でも電子契約の全社導入を進めており、電子帳簿保存法の改正(2024年1月から電子取引のデータ保存が完全義務化された)も相まって紙から電子への流れが一気に進んでいたタイミングでもあり、デジタル化の一環として法務周りのDX推進も一緒にやるべきだと考えました。
MNTSQ坂井:
ありがとうございます。今回のDXプロジェクトの目的はどのように設定されていましたか。
大後戸:
前提として、「現状よりも良くする」ためにDXを推進するべきだと考えています。これまでの法務部は、営業部側からエクセルやメールで依頼を受付け、受付担当者が確認して各担当者に振り分けて各自で保存して記録してという運用を採用していたのですが、都度記録する手間が発生するし、個別のやり取りの経緯がわかりにくい。ですので、ナレッジの蓄積を含めた業務効率化を進めたかったというのが目的の1つです。
山田:
もう1つは、Boxを導入してから社内データの検索性に課題が出てきたので、ナレッジマネジメントの一環として検索性向上を実現することですね。
まだ道半ばではありますが、MNTSQを導入することで、Box内でナレッジが自動的に蓄積されて、誰でも欲しい情報を簡単に検索できるようになる状態を目指しています。
MNTSQ坂井:
ちなみに、MNTSQ導入の決め手はなんだったのでしょうか。
山田:
機能的に弊社が求める要件に合っていた点と、長島・大野・常松法律事務所と連携されているので法務の実務に即した知見がプロダクトに反映されている点に期待しました。
実は内製で構築する案もあったのですが、当社では「クラウドファースト」を推進しているので、内製化するよりは外部のクラウドサービスを活用して、自分たちの作業はできるだけ最小化するべきだと判断しました。
全社DXの一環として立ち上げたからこそスムーズに進行できた

MNTSQ坂井:
今回のDXプロジェクトをどのように進められたか、大まかな流れを伺ってもよろしいでしょうか。
山田:
まずはDX推進部側で企画を立てて稟議を通し、予算組みをして、豊通シスコムさんにツール導入の支援を依頼しました。
成田:
MNTSQ導入にあたり、技術面での事前確認や契約周り、実際のシステム導入は私たちが担当しました。要件定義については、法務部の皆様にも相談させていただきました。
大後戸:
そうですね。法務部はユーザー側として要件定義に協力しました。厳密に言うと、ユーザーは法務部・営業部の担当者の2カテゴリに分けられます。法務部側の運用を効率化するための仕組みを構築しつつ、営業部側には負担が少なくこれまでの手続きと変わらないよう考えて設計しました。
MNTSQ坂井:
多くの企業で苦労されるのが予算交渉だと思うのですが、今回のプロジェクトではいかがでしたか。ツール導入による効果を経営陣に伝える際に苦労はありましたか。

山田:
比較的スムーズに進められたと思います。全社DXという枠組みの、1つのプロジェクトとして推進したので、予算も取りやすかったですね。
大後戸:
私は直接関わっていないのですが、企画の担当者に聞いた話では、定性面の導入効果に加え、他社トライアルにおける工数削減実績の数値も参照し、導入の必要性と効果を説明されたようです。弊社の他のIT関連投資と比べると予算規模が少額だったこともあり、担当役員への提案のみでスムーズに導入できました。
山田:
逆に、全社的なプロジェクトではなく、法務DXとして切り出して個別に進めようとすると難しかったかもしれません。
大後戸:
そうだと思います。法務単体でツール導入する場合は、稟議がかなり厳しくなるかなと。ツールを新たに導入する場合は、逆に既存のツールで何を減らせるかどうかを検討する必要がありますしね。
MNTSQ坂井:
豊通シスコムとして、印象的だった部分や、他プロジェクトと比べて難しかった部分はありましたか?

成田:
業務に関する設計は法務部の皆さまがかなり綿密に作られていて、私たちは本当にシステム構築に集中できました。他のプロジェクトと比べても工数を抑えて進められたと思います。
営業部側の負担を増やさない設計に注力した結果、トラブルゼロで案件管理稼働
MNTSQ坂井:
では、実際にMNTSQを導入されてから、営業部側への説明や利用促進する際に障壁はありましたか。

今西:
特に、障壁やトラブルはありませんでした。先ほど大後戸からもあったとおり、営業部側の手間が増えないような設計にしていたおかげだと思います。
具体的には、もともとはエクセルで相談シートを作成して、メールで法務部に送信してもらい、それを法務部で受け付けて担当者に渡していたところから、MNTSQのシステム上で今までエクセルで送っていた内容を申請する形にして、その後のやり取りはなにも変わりませんと説明しました。本当に申請の入口がMNTSQに変わっただけなので、混乱は起きませんでした。
MNTSQ坂井:
法務部側での導入はいかがでしたか。
大後戸:
法務部に関しても導入はスムーズだったと思います。部内での説明会は2回ほど実施して、その後問題なく運用できています。
MNTSQ坂井:
もし、もう一度最初から今回のプロジェクトをやり直せるとしたら、もっとこうしたかったと思うポイントはありますか。
大後戸:
強いて挙げるとすれば、他ツールとの比較はやっても良かったかなと思いますね。
リーガルテックツールが増えてきているなかで、各社異なる特徴があって、当然得意不得意なことはあると思うんです。それを理解したうえで、弊社の目的と合っているかどうかを検討するというプロセスを踏まなかったので、もし今度やるとしたら検証はしっかりしたいなと。そのようなプロセスを経て、結果としてやはりMNTSQを導入することになればより納得感を持てるなと思います。
山田:
そうですね。そもそも、何ができて何ができないのか、導入後に自分たちの手を動かすところはどこなのか、自動化できる部分はどこなのかをもっと明確に理解しておくべきだったなと思います。その点が明瞭であれば、設計の段階で他のツールと組み合わせるべきかという検討もできますし、さらに効率的に導入を進められたのではないかと思います。
MNTSQ坂井:
ありがとうございます。最後に、実際にDXを推進されるなかでMNTSQを導入して良かったと感じるポイントを教えていただけますか。

大後戸:
やはり、当初の目的の大部分を達成できたところですね。今まで各担当者のローカル環境にしか蓄積されなかった契約相談のやり取りの内容などもすべてMNTSQのシステム上に蓄積されて、かつ検索も簡単にできる状態になりました。当社は異動が多く、部門ごとの人の入れ替わりが結構あり、各担当者のナレッジが蓄積されない状態をもどかしく思っていたので、解決できて良かったと感じています。
今西:
あとは、運用フローを整理できたのも良かったですね。例えば、社内規定では申請書を受け取って法務相談の対応を開始するべきとされていますが、以前は諸事情で申請書を介さずメールベースで法務相談に対応していたときがありました。
今では、すべての案件をMNTSQ上から申請するフローに統一し、どの法務相談でも申請書が必ず付与されるルールになったので、メールのみで完結する案件はほぼなくなりました。
本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。


