日本と海外の契約書の違い
ビジネスには、合意内容を文書として記録するための契約書の締結が欠かせません。海外企業とビジネスを始める際には、国内の取引よりもトラブルが起こりやすいため、契約書の内容を明確にしておく必要があります。
しかし、日本と海外では契約書の内容や表現の方法が大きく異なります。ここでは、日本の契約書と海外の契約書の特徴をそれぞれ押さえておきましょう。
日本の契約書
日本の契約書の特徴は、短く、契約書に記載されていないことも協議で決めていく余地がある点です。日本ではお互いに信頼関係があることを前提に契約書を作成するため、契約書に記載する内容は最低限のことであり、契約書外のことは相手の立場に配慮しながら決めるという対応の余地を残しています。
日本の契約書が簡潔であるのは、日本が高コンテクスト文化であるためです。抽象的な内容が多く、言葉にしていない暗黙の了解が通じる文化があります。
海外の契約書
海外の契約書は、日本の契約書よりも長く、一つひとつの条項が事細かに記載される点が特徴です。海外の契約書が細かく書かれる理由は「口頭証拠排除法則」があるためです。口頭証拠排除法則とは、契約書に書かれていない内容に関しては原則として、契約書の内容が最優先であるという考え方です。そのため、自社が不利にならないように、曖昧な内容は書かないようにされています。
海外の多くは、日本と異なり低コンテクスト文化です。言葉にした内容のみが意味を持つ文化のため、契約書に関してもあらゆる内容を記載する傾向があります。
翻訳する契約書の種類
海外企業とのやりとりの際に結ぶ可能性のある契約書には、以下のような種類があります。
| 秘密保持契約書 | ビジネスで知った機密情報の漏えいを防ぐための契約書。業務委託などの機密情報のやりとりが行われる際に締結する。 |
| リース契約書 | 自社が持つ不動産や機械などを貸し出す際に結ばれる契約書。リース期間や故障時の対応、使用条件などが細かく記載される。 |
| ライセンス契約 | 知的財産権を第三者に使用させる際に結ぶ契約書。特許や商標などに対し、どのように使用するか、使用期間、ロイヤリティの支払い方法などが記載される。 |
契約書には上記のようにさまざまな種類があるため、ただ翻訳すればよいわけではありません。国際的な法律をしっかり理解していなければ、内容を誤って翻訳してしまう可能性があります。
契約書を翻訳する際に必要な知識
契約書の翻訳には、契約を結ぶ国の言語知識が必要です。そしてその国の法律の知識も欠かせません。たとえばアメリカの企業と契約を結ぶ場合、英米法の知識が必要になります。アメリカの場合は州ごとに法律が異なるため、その地域の法律知識を踏まえて契約書を結ぶ必要があります。
また、英米法に限らず、ウィーン条約、インコタームズ、EUのTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)など様々な国際条約・協定などについても抑えておく必要があるでしょう。
契約書の翻訳は、正確でなければいけません。誤った翻訳や解釈のミスをしてしまうと、企業に大きな損失を出してしまう可能性があります。英語の知識以外にも業界ごとの専門知識や法律に関する知識も幅広く身につける必要があるのです。
自社で契約書を翻訳する際の注意点
契約書の翻訳を自社で行う場合には、下記の2点に注意しましょう。
・翻訳ツールに頼りすぎない
・直訳に注意する
英文をただ日本語にするだけでは、解釈に誤りが生じ、後々トラブルになる可能性があります。契約書を翻訳する際の注意点を詳しく見ていきましょう。
翻訳ツールに頼りすぎない
最近では、英語を日本語に翻訳してくれるツールも多く登場しています。しかし、海外企業と契約書を締結する際は、翻訳ツールの使用を避けましょう。翻訳ツールは文章を一瞬で簡単に翻訳してくれますが、不自然な翻訳や、解釈が間違っているケースも多くあります。
契約書などの重要な書類でなければ多少の翻訳ミスは問題ありませんが、重要な条項の解釈を誤ってしまうと、自社に不都合な内容で取引を結んでしまい、トラブルや大きな損害を出してしまう可能性があります。
契約書の翻訳は専門知識を多く必要とするため、翻訳ツールだけでは正確に翻訳ができないと考えておきましょう。
直訳に注意する
直訳は、英単語を1つずつ和訳して日本語の文章にすることです。一般的な英文であれば問題ありませんが、契約書の場合は直訳は行わないようにしましょう。
直訳は英単語の意味や文法が合っていても不自然な文章になり得ます。契約書の翻訳では、原文の意味を理解し、法的背景を踏まえて訳す技術が必要です。専門用語に対応できず、細かいニュアンスの表現ができない直訳は、避けるようにしてください。
契約書の翻訳を依頼する際のチェックポイント
契約書の翻訳には英語力はもちろん、専門知識が必要です。翻訳ツールなどで内容を翻訳するのはリスクがあるため、専門業者に委託するのがよいでしょう。翻訳を依頼する業者を探す際のチェックポイントは次の5つです。
・事前に品質をチェックできるか
・実績があるか
・修正も対応できるか
・セキュリティ対策をしているか
・納期の希望を聞いてもらえるか
それぞれのチェックポイントを詳しく解説します。
事前に品質をチェックできるか
契約書の翻訳を依頼する前に、短い文章を翻訳してもらい、品質を確かめられるかチェックしましょう。
いきなり重要な契約書の翻訳を依頼した場合、翻訳の質が悪いとまた別の業者を探したり、後々トラブルになったりする原因になります。
事前に文章の翻訳を依頼することで、翻訳者が専門知識を十分に持っているか、細かいニュアンスをわかりやすく翻訳してくれるかなどが確認できるでしょう。また、翻訳の技術だけでなく、自社と依頼先の相性を確かめるためにも事前のチェックは有効です。
実績があるか
翻訳を依頼する際は、業者や翻訳者の実績を確認しましょう。自社と同業者や同規模の企業が翻訳を依頼した実績があれば、専門知識を十分に有している可能性が高いです。
依頼先の実績がわからない場合には、事前に同じ分野の契約書を翻訳した実績を直接聞いてみましょう。
修正も対応できるか
契約書の翻訳は一度で完了にならないケースもあるため、修正対応は可能かどうかもチェックしておきましょう。
契約書の翻訳を依頼した際に、自社の法務部門のチェックなどを通して、修正が発生することがあります。依頼先が修正に応じてくれない場合には自社で対応したり、再度依頼したりしなければなりません。
依頼する前に、修正回数の確認や追加費用の有無などを確認しておくと、安心してお任せできるでしょう。
セキュリティ対策をしているか
翻訳を依頼する先のセキュリティ対策も確認しておきましょう。
契約書は重要な機密事項にあたります。依頼した契約書の内容が漏えいしてしまうと、相手企業に損害賠償を請求されたり、自社の信用を損ねたりといった重要な問題につながります。
依頼前には、契約書の管理方法や翻訳後の契約書の処分方法、従業員に対するセキュリティ教育の有無などをきちんと確認し、契約書が適切に管理されているかチェックすることが大切です。公式ホームページなどに記載がない場合は、しっかりと管理されている企業であれば、直接質問すれば答えてもらえます。
リスクを避けるためにも、セキュリティ対策を入念に行っている企業に翻訳を依頼しましょう。
納期の希望を聞いてもらえるか
契約書の翻訳を依頼してから納品までの期限も事前にチェックしておきたいポイントです。
契約書の翻訳は、契約締結先といつまでに確認するかを決めていることが多く、長い時間をかけて翻訳することが難しいケースがあります。そのため、依頼してから何日程度で翻訳してもらえるかも重要なポイントです。
ただし、納期までの時間が短くても、質が疎かになるとやり直しのリスクがあります。納期と質のバランスをチェックし、信頼できる業者に依頼しましょう。
まとめ
海外企業とビジネスを始める際には、国内の取引よりもトラブルが起こりやすいため、契約書の内容を確実に翻訳することが大切です。日本と海外では契約書における考え方が異なり、細かいニュアンスまで正確に翻訳しなければ後々大きなトラブルにつながることがあります。
契約書を問題なく翻訳するためには、翻訳ツールを使用するのではなく、専門知識を持つ依頼先にお願いするのが安全です。また、外国との契約は国内との契約よりも高リスクになるため、契約書の作成から締結までの情報をすべて保存し共有することで、リスク管理ができるようになります。
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