契約書とは当事者間の合意内容を文書にしたもの
契約書とは、当事者同士が取り決めた内容を整理し、後から確認できる形に残すための文書です。正しく作成するには、仕組みだけでなく契約書が果たす役割や法的な位置づけも理解する必要があります。
契約書の役割
契約書は、当事者の合意内容を整理し、双方が同じ認識を持つための根拠となる文書です。金額や責任範囲を明確にでき、後から確認しやすいことも特徴です。曖昧な表現を避けることで、誤解を招く可能性を抑えられます。契約書は万一のトラブル発生時にも、事実関係を示す重要な根拠として扱われます。
契約書の法的な効力
契約は、一方が申し込み、もう一方が申し込み内容を承諾すれば成立します。そのため、契約書がなくても法的には契約が成立します。ただし、文書がなければ合意内容を証明しにくく、トラブル発生時の事実関係の整理に時間がかかる可能性があります。契約書があれば、合意した条件を細かく示せるため、トラブルが発生しても正確に整理できます。
契約方法から見た契約の種類
契約方法には、口頭で成立するものと、書面や電子データで確認するものがあります。最近はオンラインでの取引が増えたことで、電子契約が広く使われるようになりました。どの方法でも契約自体は成立しますが、後から内容を確認しやすい点では書面や電子契約がおすすめです。
契約書作成で必ず押さえておくべき6つの注意点
契約書を正確に作成するには、条項の整理だけでなく実務で起きやすいリスクを踏まえた視点が欠かせません。ここでは作成時に必ず確認しておきたいポイントについて解説します。
目的意識をもちリスクをカバーする前提で書く
契約書は「この取引で何を達成したいか」を起点にすると内容を整理しやすくなります。たとえば、納品物の品質や水準、納期、支払条件などは後のトラブルになりやすい部分です。目的を明確にした上で「想定と違う成果物が届いたらどうするか」「遅延した場合は誰がどこまで負担するか」を先に決めておく必要があります。
具体的に発生しそうな場面を想像しながら、抜けや曖昧さを減らす意識が重要です。
権利と義務を明確に記載する
当事者がそれぞれ「何をするのか」が曖昧では、実務で判断に迷う場面が増えます。特に注意すべきは数量・期限・品質・水準・提出物の形式など、双方の解釈が分かれる部分です。主語をはっきりさせ「誰が・いつまでに・どの範囲を行うのか」を明確に示すと、運用時のズレを抑えられます。
第三者にも伝わる一般的な言葉で書く
契約書は作成者だけでなく社内の承認者や別部署が読む場合があります。社内用語や略語を使うと、読み手によって解釈が変わる恐れがあります。また「適切な対応」など抽象的な表現も正確に判断できません。「〇営業日以内に通知する」「成果物はPDF形式で提出する」など、誰が読んでも同じ意味になる書き方を意識しましょう。
法律で記載事項が決まる契約書に注意する
建設・賃貸借・労務関連など、一部の契約は法律で定めるべき項目が決まっています。必要な項目が欠けていると契約として成立しない場合もあります。作成前に該当する契約か確認し、求められている項目(たとえば工事内容、金額、引渡日など)をリスト化した上で作成すると漏れを防げるでしょう。
関連する法律・判例をリサーチして反映する
契約内容が法律に反していると、その条項は無効になる可能性があります。特に「賠償額の設定」「金利」「労務」「下請け関連」などは注意が必要です。過去の判例や最新の法令を確認し、条件が適切かをチェックしましょう。疑問点があれば、作成段階で法務部や専門家に確認する姿勢が重要です。
ひな形は記載漏れを防ぐチェック用に使う
ひな形は基本項目を把握するのに便利ですが、修正せずに利用すると実態に合わない部分が残る可能性があります。まずひな形を見ながら必要な項目を洗い出し、その後で目的や条件に合わせて1つずつ調整する方法が安全です。特に金額、責任範囲、納品条件などは調整が必要なケースが多くあります。
一般的な契約書の構成
契約書にはさまざまな種類がありますが、一般的に基本構成は共通しています。ここでは、実務で押さえておきたい主要なパーツについて解説します。
タイトルと前文で契約の前提を明確にする
冒頭のタイトルは契約の種類を示す重要な部分で、内容を一目で判断できる名称を付けます。前文では「誰と誰が」「どのような目的で」契約するのかを具体的に示す必要があります。たとえば、システム保守を依頼するなら、前文に「株式会社A(甲)は、株式会社B(乙)に対し、保守業務の提供を依頼するため、本契約を締結する」と書くと意図が明確になるでしょう。
契約条項の基本項目(権利義務・期間・解除・損害賠償)を記載する
本文では、取引を進める上で必ず必要となる基本項目を条文として記載します。特に重要なのは、当事者の権利と義務、契約期間、解除事由、損害賠償の扱いです。数量や期間、対応範囲などは解釈が分かれやすいため、客観的に判断できる形で記載する必要があります。後から調整できない部分ほど、条件を具体的に示しておくことが重要です。
追加条項(反社排除・譲渡禁止・合意管轄・協議)を記載する
基本項目に加えて、多くの契約で盛り込まれるのが追加条項です。反社排除や権利義務の譲渡禁止、紛争時の裁判所を定める合意管轄、見解の相違が生じた際の協議条項などが該当します。これらを入れておくと、不測の事態でも、対応しやすくなります。
特に、合意管轄は後の負担に影響するため、記載内容には注意が必要です。たとえば「甲の所在地を管轄する裁判所とする」など、双方がムリなく対応できる範囲で定めておきましょう。
成立を示す後文と日付・署名欄を設ける
契約書の末尾には、契約が成立した事実を示す後文を置きます。紙の場合は「原本を何通作成し各当事者が保有する」といった文言を記載します。あわせて、契約締結日、署名欄、押印欄を正確に配置しましょう。電子契約では電子署名の扱いやデータ管理の方法を明記する必要があります。これらの記載をそろえることで、契約内容を客観的に確認できる状態を整えられます。
契約書作成の流れ
契約書の作成は、決まった順番で進めれば迷わず完成までたどり着けます。ここでは実務で使う手順を段階ごとに整理します。
内容の確認と合意事項の整理
契約書の作成ではじめに行うのが「依頼内容」と「依頼範囲」の話し合いです。たとえば、システム開発なら、要件や納期、成果物の形式などを細かく洗い出します。ここを曖昧にすると、後の条文に一貫性が出ません。担当者同士で認識のズレがないかを確認し、条件をメモしてまとめると次の作業がスムーズに進みます。
ドラフト作成・修正
整理した内容を基にドラフト(下書き)を作成します。この段階では、条文の順序や表現は仮で問題ありません。書きながら抜けや不一致がないかを確かめて修正点を集めます。たとえば、支払期限を「月末」にすると解釈が分かれるため「毎月月末まで」といった形に直すなど、実務に合う文章に整えていく姿勢が大切です。
契約書の確定・製本
修正が一通りまとまったら、条文の整合性や数字の誤りを最終確認します。特に金額、日付、名称に誤りがあると、当事者間の認識にズレが生じ、後から契約内容を巡るトラブルにつながる可能性があります。紙で締結する場合は、契約書の定めに従って必要部数を印刷し、ページ番号やホチキス留めなど形式を整えましょう。電子契約の場合は、アップロードするファイル名や改ざん防止設定も確認しておく必要があります。
署名・押印または電子署名
契約内容が確定したら、締結作業へ進みます。紙の場合は代表者名の署名と押印を行います。部署印と社印を混同しないよう、社内の規定を確認することが重要です。電子契約では、指定されたサービス上で電子署名を付与し、タイムスタンプを付けて正式な締結とします。どちらの場合も、双方で同じ時点を締結日として認識する必要があります。
契約書の郵送・保管
紙で締結する場合は、押印済みの契約書を相手方へ送付し、双方の署名・押印がそろった原本をそれぞれ保管します。保管場所や管理ルールを決めておくと、後から参照する際に探しやすくなります。電子契約の場合は、サービス上で自動保管されますが、社内フォルダにもバックアップを残しておくと安心です。必要なときにすぐに取り出せる状態が、実務において重要となります。
契約書作成の形式面で注意するポイント
契約書は内容が整っていても、形式面で不備があると契約として機能しない場合があります。ここでは、実務で特に見落としやすいポイントについて解説します。
印紙の要否を正しく判断する
紙の契約書は、内容によって印紙が必要になる場合があります。たとえば、請負契約や不動産関連などは課税文書に該当します。印紙を貼らないまま提出すると後から過怠税が発生する可能性があるため、契約内容が該当するか迷う場合は、国税庁の区分表で確認しましょう。
割印で契約書の改ざんを防止する
契約書を複数部作成する場合、原本同士の対応関係を明確にする目的で割印を押すことがあります。2つの文書にまたがって印影を残すことで、片方だけが差し替えられるリスクを抑えられます。特に紙で締結する契約は、後からすり替えが起きないよう、署名・押印後は、契約書の形式や社内ルールに応じて、割印の要否を確認しておくと安心です。
契印でページ差し替えを防ぐ
契約書が複数ページにわたる場合、ページ間に契印を押しておくと安全です。これは、1枚だけを入れ替えられるリスクを避けるための措置です。ページ数によっては製本テープの使用も検討しましょう。製本テープの上から契印を押すことで、ページ全体の一体性を示せます。特に金額や条件が書かれたページは差し替え被害が起こりやすいため、印影がページをまたぐ形で残るようにしておくと安心です。
まとめ
契約書は内容整理から締結・保管までを丁寧に進めることで、誤解やリスクを最小限に抑えられます。実務では審査・ナレッジ共有・更新管理など周辺業務も多く、担当者の負担が大きくなりがちです。そこで、業務全体を効率化しつつ品質も高めるには、契約情報を一元管理し運用を標準化できる仕組みが重要になります。
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