リーガルテックとは?
「リーガルテック」はリーガル(法務)とテクノロジー(技術)を組み合わせた言葉で、法務業務でITを活用することを意味します。AIやクラウドを活用して業務の自動化や効率化を図り、法的リスクを低減させるこの取り組みは、近年数多くの企業や法律事務所で導入が推進されています。
日本国内におけるリーガルテックの市場規模
日本におけるリーガルテック市場は、今後大きく成長することが見込まれています。2016年に約184億円規模だった市場は、デジタル化の加速により、2023年に約350億円まで拡大すると予測されています。なかでも電子契約サービスや契約書管理のニーズが高まっており、企業の規模を問わずに導入が増加しています。
リーガルテックが注目されている背景
リーガルテックが注目される背景には、法務業務の複雑化や企業における法務担当者の人手不足などが挙げられます。
企業の法的リスクが高まるなか、従来の手作業や紙媒体中心のフローでは早急な対応が難しく、IT技術の導入が必要不可欠になってきています。また、リモートワークの普及やDX推進の流れも後押しし、法務業務の効率化や可視化を目的としたリーガルテックの導入が加速しています。
リーガルテックサービスの種類
リーガルテックサービスは、契約書関連の支援から訴訟対応、人事・労務管理まで、多種多様なサービスが展開されています。
電子契約サービス
電子契約サービスは、これまで紙で交わしていた契約書を、インターネット上で電子締結できるサービスです。契約書の電子化によって印刷や郵送の手間が省けるだけでなく、収入印紙代をはじめとしたコスト削減にもつながります。
契約書・文書作成管理サービス
契約書・文書作成管理サービスは、契約書や覚書などのテンプレートを提供して文書の作成をサポートしたり、作成・締結した文書をクラウド上で管理したりするサービスです。文書の修正履歴やバージョン変更を保存でき、煩雑になりがちな契約書管理をデータベース化できます。
契約書レビューサービス
契約書レビューサービスは、AIチェックツールを利用し、契約書のリーガルチェックを自動化するサービスです。法律知識の少ない担当者でも契約書のリスクや不備を洗い出すことができ、業務品質を向上できます。
登記・申請・出願支援サービス
登記・申請・出願支援サービスは、会社設立時の登記や商標登録など、業務上のさまざまな申請手続きをサポートするサービスです。法律知識がなくても、ガイドに従うだけで簡単に申請書を作成できます。
紛争・訴訟支援サービス
紛争・訴訟支援サービスは、不正の検出や証拠収集を自動化したり、法廷へ提出する書類の作成をサポートしたりするサービスです。利用することで法務担当者の業務負担を軽減できるほか、法律知識が少なくても訴訟の対応をスムーズに行えます。
弁護士紹介サービス
弁護士紹介サービスは、依頼したい分野や対応地域から、企業や個人に最適な弁護士を紹介してくれるオンラインサービスです。紛争の相談から顧問契約まで幅広い分野に対応しており、弁護士探しの手間を削減できます。
人事労務管理サービス
人事労務管理サービスは、従業員の労働時間や残業時間の管理、雇用保険・社会保険の管理などをサポートするサービスです。法改正への対応や従業員情報の一元化によって、人事部や労務部の担当者の負担を大幅に軽減できます。
法律事務所向けサービス
法律事務所向けサービスは、法律事務所の弁護士業務に特化したリーガルテックサービスです。案件の進捗管理やスケジュール調整、顧客情報などをデータベース化することで、職員がコア業務に集中できる環境を整備できます。
リーガルテックを活用するメリット
リーガルテックを導入することで、業務の効率化や業務品質の向上などのさまざまなメリットが得られます。
業務を効率化できる
リーガルテックの最大のメリットは、煩雑な法務業務の自動化や効率化を図れることです。
たとえば、契約書の作成やチェック業務をAIによってサポートすることで、従来の手作業に比べて作業時間を大幅に短縮できます。作業効率の向上によって法務担当者の負担が軽減されるほか、本来集中すべきコア業務に注力できます。
業務品質が標準化される
リーガルテックの導入によって、これまで担当者によって手順が異なっていた作業や成果物の品質を標準化できます。
法務知識の少ない担当者でも業務を正確に遂行しやすくなる上、業務の属人化も抑止できます。また、担当者が変わるときの引き継ぎや教育の負担も軽減できるでしょう。
法的リスクを低減できる
AIによる契約書レビューや分析ツールなどを導入することで、人の目では見落としがちな細かいチェックポイントや潜在的な法的リスクを事前に把握しやすくなります。
これによって法的トラブルへのリスクを低減でき、予防法務体制の整備につながるほか、企業への信頼やブランドイメージの向上にも役立ちます。
人件費やコストを削減できる
リーガルテックの導入は、人件費や法務部門のコスト削減にも効果的です。業務の自動化や効率化によって社内のリソースを再配分でき、これまで多くかかってきた人件費や作業時間を最適化できます。
また、紙の契約書から電子契約書に切り替えることで、印刷代・郵送代・収入印紙代などの費用も抑えられます。初期費用はかかりますが、長期的には導入費用を超えたコスト削減効果が期待できるでしょう。
書類の一元管理によってデータベースを作れる
契約書や申請書類をデジタル化し、クラウド上で一元管理できるリーガルテックは、社内文書のデータベース化も叶えます。
法務部門における膨大なデータを1つのプラットフォームに集約することで、過去の案件内容をすぐに参照でき、蓄積した社内ノウハウが利用しやすくなります。また、複数人の担当者間で最新のデータをいつでも共有し合えるのもメリットの1つです。
リーガルテックを活用するデメリット
さまざまなメリットがあるリーガルテックですが、導入する際に注意すべきポイントもいくつかあります。
導入コストがかかる
リーガルテックサービスの導入には、初期費用や月額利用料をはじめとした導入コストが必要です。また、社内に浸透させるためには、従業員の教育やマニュアルの整備も欠かせません。リーガルテックの導入は長期的なコストの削減につながりますが、会社の規模や予算によっては導入ハードルが高く感じられる可能性があります。
電子契約が交わせない契約内容もある
リーガルテックによる電子契約は非常に便利ですが、全ての契約書が電子契約で締結できるわけではありません。たとえば、事業用定期借地契約書や任意後見契約書は、原則書面での締結が義務付けられています。業種や事業内容によっては、電子契約書と紙の契約書を併用する運用が求められます。
セキュリティ面の懸念がある
法務部門では機密性の高いデータを扱うため、クラウド上での管理にはセキュリティ面での不安が残ります。外部からの不正アクセスや情報漏洩を防ぐためには、信頼できるリーガルテックサービス提供会社を選択することはもちろん、二要素認証やアクセス制限などの対策も必要です。また、従業員に対する情報リテラシー教育も欠かせません。
AIによるハルシネーションやサービス利用によるトラブルの可能性がある
リーガルテックはまだまだ発展途上の分野であり、AIが全ての法的リスクを正確に判断できるわけではありません。AIによる誤ったレビュー結果に基づいて判断したことで、後に法的トラブルにつながる可能性も考えられます。近年はAIの精度が向上していますが、最終的なチェックは人の目で行うなどの対策が必要です。
リーガルテックの導入を成功させるためのポイント
リーガルテックを導入して一定の成果を得るためには、単にサービスを導入するだけでなく、目的や解決したい課題を明確化する必要があります。
導入目的や解決したい課題をもとにツールを選ぶ
リーガルテックのサービスは多種多様なため、自社が解決したい課題を明確にした上で、目的に合ったツールを選ぶことが大切です。導入目的に合ったツールを取り入れれば、導入後の効果や満足度がより高まるでしょう。
本格的な導入前にトライアルやワークショップで確かめる
リーガルテックを導入する際は、自社のオペレーションを想定し、導入後のイメージを明確にしてから導入を決定するのが賢明です。オペレーションを想定してトライアルやワークショップなどで事前に使用感を試すことで、効果の見込みや導入における課題点を明確化でき、本格導入の際にスムーズに対応できます。また、一部分から導入し始めれば、従業員からの理解も得られやすいでしょう。
はじめは段階的に導入する
リーガルテック導入の際は、全ての業務を一斉に切り替えるのではなく、小規模な業務から段階的に導入していくことが有効です。これによって初動による現場の混乱を最小限に抑えられるほか、初期導入で得られたノウハウを拡大時にいかすことができます。
他社の導入事例を参考にする
リーガルテックの本格導入前に、自社と同様の業種や同規模の企業がどのようにリーガルテックを活用しているかをリサーチすることも重要です。すでに導入を進めている他社の事例を参考にすることで、自社にフィットする運用方法を検討しやすいほか、想定される課題やリスクをあらかじめ認識することができます。
法務のお悩み・リーガルテックの導入はMNTSQにおまかせ
リーガルテックの導入に不安がある企業におすすめなのが、法務特化型サービス「MNTSQ CLM」です。
MNTSQでは、契約書レビュー・契約管理・データベースなどの主要なリーガルテックサービスを一元化することで、顧客の法務業務の効率化と標準化を後押ししています。自社の業務課題に応じて導入から運用までをトータルサポートしているため、初めてリーガルテックを導入する企業でも安心してご利用いただけるでしょう。法務部門のDX化を成功させたい企業は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
リーガルテックは、法務部門における業務の効率化・標準化・コスト削減を実現できる万能なツールです。
一方で、導入・運用の際には初期投資や社内教育、セキュリティ対策も必要不可欠です。スムーズかつ有効的なサービス導入のためにも、自社の課題やニーズに合ったサービスを選定し、段階的に導入を進めていきましょう。


