そもそもバックオフィスDXとは?
バックオフィス業務とは、顧客と直接やり取りを行わない経理や人事、総務、法務などの管理業務を指します。具体的には、給与計算や税務申告、採用や勤怠管理、社内規定の整備や設備管理などが含まれます。これらの業務は直接的な収益を生み出すわけではありませんが、企業の安定運営と成長に不可欠な役割を担っています。
一方でDX(デジタルトランスフォーメーション)は、データやデジタル技術を活用し、業務や組織、ビジネスモデルを変革する取り組みです。単なるデジタル化やツール導入ではなく、新たな価値を創出し、企業の競争力を強化することが目的です。
バックオフィスDXは、こうした考え方をバックオフィス業務に適用し、効率化や正確性の向上、属人化の解消などを通じて企業の競争力強化を実現する取り組みといえます。
バックオフィスDXが必要とされる理由
バックオフィスDXが求められる背景には、急速に変化する働き方や老朽化するシステム、人材不足といった複数の課題があります。ここでは、主な5つの理由を整理します。
「2025年の崖」問題
「2025年の崖」とは、老朽化した基幹システムを放置することで、データ活用が遅れ、競争力低下や年間最大12兆円の経済損失につながるリスクを指します。多くの企業でシステムが部門ごとに個別構築され、過剰なカスタマイズや中身の見えにくい状態になっていることが原因です。この問題を放置すると、DXを進めても十分な効果を得られません。
現行システムの複雑化とブラックボックス化
既存システムは、業務ごとに個別構築されていることが多く、全社的なデータ連携が難しい状況です。複雑なシステムでは、担当者の引き継ぎや改修作業に余計な時間がかかります。バックオフィスDXでは、業務プロセスの統合とシステムの見直しを通じて、透明性の高い運用を実現します。
働き方の多様化
近年、フレックスタイムやテレワークなど、柔軟な働き方が広がっています。しかし、バックオフィス業務が紙や対面を前提としていると、リモートでの対応が難しく、業務停滞や負荷集中が発生します。DX化により、オンラインで業務を完結できる環境を整えることが、柔軟な働き方の実現につながります。
オンライン化できない資料や手続きの存在
押印や紙での手続きが必要な業務は、DX化の妨げとなります。たとえ自社がデジタル化に取り組んでも、取引先や関連部署が対応していなければ、オンラインで完結できません。バックオフィスDXでは、こうした制約を洗い出し、必要なプロセスの見直しやデジタルツールの導入によって解決を図ります。
人材不足による業務負荷の集中
バックオフィス部門では、限られた人員で膨大な業務を処理しなければならないことがあります。非効率な手作業が多いと、重要業務に注力できず、業務負荷が特定の担当者に集中します。DX化による自動化や効率化は、担当者の負荷を軽減し、コスト削減や生産性向上にもつながります。
バックオフィスDXがもたらす5つの変化
バックオフィスDXを導入すると、業務効率や働き方に大きな変化が生まれます。ここでは特に注目すべき5つの変化について解説します。
生産性の向上
バックオフィスDXでは、従来手作業で行っていた作業を自動化できます。その結果、作業スピードが上がり、担当者は余裕を持って他の重要業務に取り組めるようになります。業務の標準化やミスの削減も実現するため、安定した業務遂行が可能となるでしょう。
コスト削減
業務の自動化やペーパーレス化により、人件費や印刷費、オフィスの固定費を削減できます。初期投資は必要ですが、長期的には投資以上の効果が期待できます。業務全体の効率化を進めることで、経費の最適化も実現できるでしょう。
ヒューマンエラーの削減
人手による入力作業やチェック業務を減らすことで、ミスの発生を防ぐことができます。特に経理や法務など、正確性が求められる業務では、ミスの防止が企業の信頼性向上につながります。また、自動化と標準化の組み合わせにより、作業精度の安定も期待できます。
属人化からの脱却
バックオフィス業務は特定の担当者しかわからない場合がありますが、DX化によって業務フローが統一され、マニュアルや手順書を活用すれば誰でも対応できるようになります。そのため、担当者の休職や退職による業務停止のリスク軽減につながります。
働く場所の自由度拡大
業務をオンラインで完結できるようにすると、テレワークや在宅勤務も可能になります。働く場所の自由度が高まれば、育児や介護などで場所の制約があった優秀な人材も採用しやすくなります。また、既存の従業員にとっても働き方の選択肢が広がるため、満足度の向上や離職率の低下につながるでしょう。
バックオフィスDXをスムーズに進める導入ステップ
バックオフィスDXを成功させるには、目的や現状を明確にした上で段階的に進めることが大切です。以下にご紹介するステップを参考に、自社に合った取り組みを進めましょう。
1.現状の業務と課題を可視化する
まずは社内のバックオフィス業務を洗い出し、業務フローや作業内容、かかる時間などを可視化しましょう。可視化することで、どの業務に無駄や非効率があるのか、属人化している業務はどれかなどを把握できます。現状を正確に理解することは、DX化の優先順位を決める上で欠かせません。
2.目標と優先業務を明確にする
可視化した結果をもとに、DX化によって実現したい目標を設定します。業務の効率化やコスト削減、リモートワーク環境の整備など、企業によって目的は異なります。また、優先的に改善すべき業務を明確にして、取り組む順序を整理しておくようにしましょう。
3.社内でDX化のメリットを周知する
DXは単なるツール導入ではなく、業務の進め方や組織文化に影響を与える取り組みです。そのため、経営層だけでなく現場の従業員にもDX化の目的やメリットを理解してもらう必要があります。導入に対する納得感を高めることで、現場の協力を得やすくなります。
4.自社に合ったツール・サービスを導入する
DX化の対象業務と目的が定まったら、具体的なツールやサービスを選定します。RPAやクラウドシステムの導入、ペーパーレス化など、手段は複数あります。自社の業務フローやITスキルに合ったものを選ぶことが重要です。また、外部の専門家に相談することで、導入の精度を高めることもできます。
5.社内体制と運用ルールを整える
ツール導入後は、業務フローの標準化や運用ルールを整備し、PDCAサイクルを回して改善を続けましょう。プロジェクトチームを設置して経営層と現場をつなぐ体制を作ることで、導入後の課題にも柔軟に対応できます。継続的に改善を重ねることで、DX化の効果を最大化できます。
バックオフィスDXを成功させるための4つのポイント
バックオフィスDXを進める際には、ただツールを導入するだけではなく、戦略的に取り組むことが大切です。ここでは、成功に導くための4つのポイントをご紹介します。
小さな成功体験から始める
バックオフィスDXを進める際は、まず小規模な取り組みから始めることが大切です。いきなり全業務をデジタル化するのは負担が大きく、現場の混乱や反発を招くおそれがあります。たとえば、まずは紙ベースの申請書を電子化するペーパーレス化や、一部業務のRPA導入、クラウドサービスでの勤怠管理運用のテストなど、範囲を限定した施策からスタートしましょう。
この方法なら、小さな成功体験を積み重ねられ、従業員の理解や協力も得やすくなります。
また、成功例を社内で共有すれば、次のステップへの抵抗感を減らすことも可能です。
DX推進指標で進捗を可視化する
DXの取り組みを効果的に進めるには、経済産業省が示す「DX推進指標」を活用することがおすすめです。この指標は、経営方針や仕組み、IT基盤の整備状況を6段階で評価でき、自社の現状と課題を明確にします。
たとえば、業務の自動化がどの程度進んでいるかや、既存システムとの連携状況などを指標に照らして自己評価することで、次に優先すべき施策が見えてきます。また、指標を定期的に見直すことで、DX推進の進捗や課題を数値で把握でき、経営層と現場の認識のズレも早期に修正可能です。
既存システムとの連携を意識する
新しいシステムを導入する際は、既存システムとの互換性や社内フローとの相性を事前に確認することが大切です。導入失敗の原因として多いのが、既存システムとの統合がうまくいかず、業務フローが複雑化してしまうケースです。
対策として、導入前に社内で使用しているツールやデータの流れを整理し、チェックリストを作成するとよいでしょう。たとえば、「既存システムとのデータ連携可否」「ユーザーアクセス権限の設定」「操作マニュアルの整備」などを確認することで、導入後の混乱を防げます。
また、新しいシステムはあくまで業務効率化の手段であることを現場に周知し、現場の理解を得ることも成功のポイントです。
定期的に効果を測定し改善する
バックオフィスDXは、導入して終わりではありません。定期的にPDCAサイクルを回し、施策の効果を評価しながら改善していくことが欠かせません。具体的には、RPAやクラウドサービス導入後に作業時間の短縮やヒューマンエラーの減少を数値で測定し、課題があれば設定や運用ルールを見直します。さらに、従業員からのフィードバックを取り入れることで、現場のニーズに沿った改善が可能です。
まとめ
バックオフィスDXは、単なるITツールの導入ではなく、業務フローの改善や組織全体の変革につながる取り組みです。まずは現状の業務を可視化し、改善する優先順位を整理することが大切です。
その上で、小さな成功体験を積み重ね、DX推進指標を活用して進捗を可視化しながら、既存システムとの連携やPDCAによる継続的な改善を意識しましょう。これらのポイントを押さえることで、バックオフィス業務の効率化だけでなく、従業員の働きやすさや満足度向上にもつなげられます。
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