法務案件管理をスプレッドシートで効率化する方法|シートの活用方法と注意点を解説

法務知識更新:2025.10.07

契約書や注文書の作成をはじめとした法務案件の管理は、更新ミスや担当者への属人化などが起こりやすい業務です。複数の管理ツールへの情報の分散も業務負荷を拡大させてしまうため、案件管理の効率化が求められます。

今回は、Googleが提供するスプレッドシートを活用した案件管理の方法やスプレッドシートの活用ポイントをわかりやすく解説します。法務部門や管理部門の担当者は、ぜひ参考にしてください。

目次

    法務案件の管理方法とは?

    法務案件の管理には、契約書の作成・レビュー・契約相手との交渉・締結後のフォローなど、さまざまな業務が含まれます。従来はExcelシートやメールでのやり取りが一般的でしたが、近年ではクラウド型の管理ツールやスプレッドシートを活用した効率化が進んでいます。

    案件ごとに進捗状況・担当者・対応期限などを明確に設定することで、更新漏れや管理業務の属人化を防ぎ、法務部門全体の業務効率を向上させることにつながります。

    法務案件の管理で起こりがちな問題

    法務案件の管理業務では、その煩雑さから、管理上のミスや情報の混在が起こりやすくなっています。

    過去データや必要な情報が分散する

    メール・チャット・個別ファイルなどに案件情報が分散すると、必要なときに必要なデータにすぐアクセスできないことが起こり得ます。契約書のテンプレートや修正履歴などの情報が正しく管理されないと、過去の事例の活用も難しくなってしまいます。

    データの更新忘れが発生する

    ExceやWordでの文書管理は、手動更新が基本です。また、情報が更新されたときの反映先が複数のツールにまたがっていると、データの更新漏れが発生しやすくなります。データが正しく更新されないと、手続きミスや社内における連携ミスにつながりかねません。

    担当者への属人化やフォーマットのばらつきが起こる

    案件管理業務を特定の担当者に依存すると、その従業員が不在の場合に業務が滞るリスクがあります。また、担当者ごとに記録の仕方が異なると、記録フォーマットのばらつきや引き継ぎ問題などが発生します。

    法務担当者の人手が不足する

    契約件数が多くなると、少人数の法務チームでは対応が追いつかなくなりがちです。特に既存の案件管理業務が煩雑化している場合、生産性の向上やルーティン業務の効率化が求められます。

    社内ナレッジが蓄積しにくい

    個々の案件の対応が属人的に進むと、過去の対応履歴や判断理由が明確に記録されず、社内ナレッジが蓄積されません。社内での事例共有が滞ると、同じような問題を繰り返したり、組織的な成長が滞ったりする原因となります。

    スプレッドシートを作成して法務案件管理を行うメリット

    法務案件を効率的に管理するには、Googleが提供するスプレッドシートの活用が有効です。

    複数人でシートの共有や同時編集ができる

    Googleスプレッドシートはオンライン上で動作するため、複数人がリアルタイムで同時編集することが可能です。誰もが最新バージョンにアクセスでき、案件に関する最新情報をチーム全体で把握することができます。

    スマートフォンやタブレットからもアクセスできる

    スプレッドシートは、外出先やリモートワーク中でもスマートフォンやタブレットから簡単にアクセスできます。場所や時間を問わずに内容の確認や修正が行えるため、多様な働き方にフィットします。

    Excelからの移行がしやすい

    スプレッドシートは、既存のExcelデータをそのまま取り込めるため、Excel上での管理からの移行がスムーズです。関数やレイアウトもスプレッドシートに引き継げるため、新たに設定し直す手間がかかりません。

    Googleカレンダーと連携できる

    スプレッドシートをGoogleカレンダーと連携させれば、契約書の期日や確認期限などを自動的にカレンダーに反映できます。これによって案件の対応漏れを防ぐことができ、チーム全体でスケジュールを可視化しながら管理できます。

    拡張機能で外部ツールと連携できる

    Googleスプレッドシートには数多くの拡張機能が用意されており、メールやチャットツールと連携することも可能です。外部ツールと連携することで通知設定やアラート機能を補完でき、チーム内でのスムーズな情報共有をうながします。

    無料で導入できる

    Googleスプレッドシートは無料で使用できるため、コストをかけずに法務案件管理の効率化に着手できます。ライセンス料がかからないことで導入ハードルが低くなり、予算の少ない中小企業やスタートアップ企業でも導入しやすくなります。

    すぐに使えるテンプレートが豊富

    スプレッドシート上では、タスク管理やスケジュール管理に使えるテンプレートが数多く公開されています。テンプレートを使用すればフォーマットを新たに作成しなくてもすぐに実務で活用できるため、初期設定をスピーディに行えます。

    法務案件の管理に活用できるスプレッドシートのテンプレート

    スプレッドシート上には、法務案件の管理に最適なテンプレートが数多く用意されています。

    ガントチャート

    ガントチャートのテンプレートを使えば、各案件の進捗状況を視覚的に管理できます。スケジュールやフローの全体像を把握しやすく、複数の契約案件が並行して進む場合でも、遅延や重複作業を防止できるでしょう。

    スケジュール

    日付ごとのタスクや期日を記載するスケジュールテンプレートは、毎日の進捗管理やタスク管理に便利です。優先順位の整理やリマインドにも役立つため、個人単位でスケジュールを管理したいときに適しています。

    ToDo

    ToDoテンプレートは、タスクと期日をリスト形式で管理できるシートです。担当者の欄を追加すれば、個人間だけでなくチーム内のタスク管理にも活用できます。完了したタスクは、チェックボックスにチェックを入れるとグレーアウトされます。

    課題管理表

    課題管理表テンプレートでは、各案件の進捗状況や着手状況を一覧で管理できます。ステータス・所要時間・開始日・期限を設定できるため、ToDoテンプレートよりもさらに高度なタスク管理が可能です。

    プロジェクトのトラッキング

    複数の法務案件を横断的に管理したい場合には、プロジェクトのトラッキングシートが効果的です。案件ごとに進捗状況・優先度・着手期間・担当者を整理できるほか、予算や所要時間も並行して管理できます。

    法務案件の管理に活用できるスプレッドシートの機能

    スプレッドシートには、案件管理に便利な機能も多く搭載されています。

    フィルタリング

    フィルタリング機能を活用すれば、特定の条件に合致する案件だけを絞り込んでシートを表示できます。たとえば、未完了のタスクや同一の担当者の案件だけを確認したいときに便利です。情報量が多い管理シートでも、効率よくデータを整理・閲覧することができます。

    設定方法:「データ」メニューから「フィルタを作成」を選択

    プルダウンによる入力規則

    入力規則を設定してプルダウンメニューを導入することで、統一のフォーマットで内容を入力できます。入力規則によって担当者による記入ミスや表記ゆれを防止でき、データの整理や集計の正確性を高められます。

    設定方法:「挿入」メニューから「プルダウン」を選択

    チェックボックス

    チェックボックス機能を使えば、タスクの完了状況を視覚的に把握できます。完了した案件やフローにチェックを付けることで、進捗状況を把握しやすくなるでしょう。対応漏れや着手漏れの防止にも効果的です。

    設定方法:「挿入」メニューから「チェックボックス」を選択

    条件付き書式

    条件付き書式を使えば、特定の条件に応じてセルの色を自動で変更可能です。たとえば、期限が近い案件を赤色にする設定をすれば、視覚的な注意喚起を行えます。優先順位の管理やリマインダーの通知・整理に役立つ機能です。

    設定方法:「表示形式」メニューから「条件付き書式」を選択

    法務案件の管理をスプレッドシートで行うときの注意点

    スプレッドシートで法務案件を管理する場合は、いくつかの注意点に着目しましょう。ここでは、6つの注意点について解説します。

    既存のシステムからの移行に手間がかかる

    現在使用している既存の法務管理システムからスプレッドシートへ移行する場合、データの再整理やフォーマットの変更に手間がかかる可能性があります。スムーズに移行するためには、事前に移行手順やテンプレートの整備をしておくことが求められます。

    業務フローの変更によって社内が混乱する可能性がある

    新たにスプレッドシートを導入することで、従来の業務フローから変更が起こり、現場に混乱が生じることがあります。導入前に全体への周知やマニュアルの整備を行い、新たな運用ルールを定着させる工夫が必要です。

    管理体制を明確化する必要がある

    スプレッドシートで法務案件を管理する場合、フォーマットやファイルの命名規則などを定める必要があります。更新ルールや責任者を明確化し、運用マニュアルを作成することで、業務の属人化やミスを防ぐことができます。

    セキュリティ面での懸念がある

    クラウド上で運用するスプレッドシートは便利な一方で、アクセス権限の管理が不十分だと情報漏洩リスクが高まります。編集権限の制限や共有リンクの設定など、セキュリティ対策も十分に行いましょう。

    リマインドの機能が搭載されていない

    スプレッドシート単体にはリマインド機能が備わっていないため、期日の管理が煩雑になりがちです。Googleカレンダーなどの外部ツールと連携するか、手動で期日管理を徹底する運用が求められます。

    シートが大きくなると操作が重くなりやすい

    管理する案件数が増えると、スプレッドシートの動作が重くなり、操作性が低下するおそれがあります。スムーズに操作するためにも、シートを分割したり不要な計算式を削除したりして、シートの軽量化を図りましょう。

    MNTSQの案件管理サービスで案件管理をスムーズに!

    スプレッドシートによる管理には一定のメリットがありますが、法務業務の複雑化に伴い、専用の案件管理ツールを導入する企業が増えています。MNTSQでは、契約書をはじめとした法務業務全体を一元的に管理できる案件管理サービスを提供しています。

    こちらのサービスでは、案件のステータスや進捗をダッシュボードで一元管理し、過去のやり取りやコメント内容を時系列で表示できます。ほかにも便利な機能が多数備わっているので、法務体制の強化と業務効率化を目指すときは、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    煩雑な法務案件の管理は、スプレッドシートの活用によって効率化できます。また、MNTSQのような専用ツールを導入するのもおすすめの方法の1つです。興味のある企業担当者は、ぜひ以下からお問い合わせください。

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